16: ◆gxyGj7UNSanm
2020/10/30(金) 02:26:18.86 ID:dk3wt1/f0
何はともあれ、いくつも問題を抱えながら、仕事は回る。
時には解決し、時には忘れて、時には取返しのつかないことになるけれど、どうにか回す。
それがプロデューサーの仕事だ。
いや社会人だったらみんな同じようなものか。
「ハードボイルドですね、プロデューサーさん!」
「そうそう、仕事してるおっさんってのは皆ハードボイルドなんだ。
ゆで卵ばっか食ってたら尿酸値あがるしな。ちなみに俺の年ならまだ大丈夫だ」
尿酸値上がるのはむしろハードボイルドの逆なのではないかという突っ込みは幸いなかった。
卵の食べ過ぎで尿酸値上がるってどんだけ卵たべたんだろうかという突っ込みも幸いなかった。
「で、百合子。今日お前に夜遅くまで残ってもらったのは他でもない」
「はい……!ついに風の戦士と雷の戦士の最終決戦が始まるんですね……!」
すでにどこか別方向を見据えているのは見ないことにする。
妄想特急七尾百合子、ここに見参といったところか。
そう、彼女こそがスカウトしたらちゃんと事務所にまで来てくれたアイドル第一号七尾百合子なのである。
呉服屋で声をかけた髪の長いあの子や、バレエの衣装屋で声をかけた元気なあの子や、道端で声をかけてしまった素晴らしい胸と尻の持ち主にはまだ再会できていない。
ともあれ、現在進行中、39プロジェクトのために、自らスカウトしたアイドルがポンコツなんて言ってはいけない。
社長に責任転嫁することができない以上、自分が面倒みるしかないのである。
通りすがりの文化祭で、朗読がすごい上手かった美少女がいました!と社長に報告したところ、
『さすが私が見込んだだけのことはある!素質があるよ!』
と言われて何故か俺が褒められたのは記憶に新しい。
ともあれ。
朗読で直感的に感じた通り、ボーカルレッスンについては順調な滑りだしを見せている。
また、それ以上に表現力は際立っており、ビジュアルレッスンでは講師が絶賛しているという。
ダンスはかなり不安があるが、まあそれはここからというところだろう。
が、最大の問題は。
「とりあえず夜更かしするのはやめなさい」
「でも、でも!本が私を呼んでいるんです!」
「そんなこと言ってると音無さんみたいになるぞ」
「美人ですよね、音無さん……」
逆効果だったか。まあ確かにあの人すげえ美人でスタイルもいいけど。
なんで結婚できないのか不思議すぎる。絶対本人の目の前では言わないけど。
自虐ネタにしてるけど絶対モテるだろあの人。
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