18: ◆gxyGj7UNSanm
2020/10/30(金) 02:27:37.91 ID:dk3wt1/f0
翌朝。まだ日も昇っていない時間に起きてしまった。
眠りが浅いのは、普段とは違う場所で寝たからだろうか。
職場に泊まるというのは独身の特権だよなあと思いつつ、その一方でいつ結婚できるかもしれぬ己の身の上を案じて少し心が寒くなった。
窓を開けて、まだ寒い外の空気を吸い込み、独り言ちる。
「大丈夫、大丈夫、晩婚化がトレンドだからセーフ……」
あずささんの運命の人を一緒になって探してる場合じゃないんだよなぁ。
根本的にこんな仕事を続けられるのかも大概怪しい。
とはいえ、上京して数年ですぐ田舎に引っ込むというのもおかしかろう。
―――私はずっと一緒に探していただいても構わないんですが〜。
―――なんだったら一緒に田舎へ行かせていただいても〜。
あずささんはそんなこと言わない。
あの人は大概迷子になっているが人生に迷子になっているようには思えん。
むしろ目標に向かって邁進しているのではなかろうか。
婚活系アイドル。いいアイディアかもしれない。現時点では恋人募集中ぐらいの緩いキャラだが結婚を目指すとなると、また一つアイドルとして重みが増える。
しかし20代前半で婚活とか言ったら、ガチ婚活系女子の怒りを買いそうな気もするのも確かだ。
うーむ、もう少し落ち着いた年代の人だったらいいかもしれんが。
さてはて。
それにしても、子供のころは、今の年齢になったらすでに恋人がいて、結婚も視野に入れ始めているみたいなイメージがあったがそううまくはいかないものだ。
結婚したい、という意思をもう少し全面に押し出して生きる必要があるかもしれない。
―――ハニーはそんなに急いで結婚する必要ないと思うな。
―――トレンドは晩婚化ですよ!晩婚化!
それはもう俺が言ったぞ。わけがわからん。
いや、一番わけのわからないのはとりとめもない考えを延々とめぐらしている俺か。
昨日仕事が入っていたのは雪歩と真。今日の予定はどうだったか。
今のところ、劇場の立ち上げが最優先とはいえ、すでに入っている仕事をキャンセルはできない。
今日仕事が入っている美希を電話で起こすためのタイマーを設定し、メールを確認する。
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