129: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:29:58.74 ID:CC20O+KU0
「い、痛い」
「あ、ごめんなさい!」
体のあちこちが痛んで、私はつい声を上げてしまった。瑞樹さんが申し訳なさそうにしている。
130: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:30:45.16 ID:CC20O+KU0
「楓ちゃん、改めて、本当にごめんなさい」
瑞樹さんが私に謝る。はて。
131: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:31:34.40 ID:CC20O+KU0
瑞樹さんがショックを受けたような表情をしているけれど、私には理解できない。
今の私に瑞樹さんの気持ちを推し量ることは、できそうにない。
……脳が、疲れたな。
132: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:32:48.97 ID:CC20O+KU0
翌朝。もう退院することを告げられる。
頭を打っていたため一応異常がないかを観察していたそうで、CTなどで異常がないことを確認してから、という条件ではあるけれど、めでたく放免ということらしい。
事務所にも連絡が行っていたようで、社長さんとちひろさんが見舞いに来てくれていた。
133: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:33:54.19 ID:CC20O+KU0
「なんかお待たせして、ごめんなさい」
「いいですいいです。気にしないで」
彼女の笑顔に救われる。昨日より心が動いていることに、私はふと気付いた。
134: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:34:39.47 ID:CC20O+KU0
「ただいまー」
「お邪魔しまーす」
私は足を引きずりつつ、ちひろさんをリビングへ案内した。
135: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:35:34.02 ID:CC20O+KU0
「楓さん。お夕飯どうします?」
「あ。ええ、そうですねえ……あまり食欲もないので」
「食べないのは、いけませんよ?」
「……そうですね。じゃあ、軽いものをなにか」
136: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:36:07.09 ID:CC20O+KU0
足を引きずり、寝室へ。どうにか寝間着に着替え、私は睡眠薬を取り出す。
ふと、思う。
これをいっぱい飲んだら、目覚めなくなるのかしら。
137: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:37:39.80 ID:CC20O+KU0
その言葉どおり、朝は来た。リビングに行ってみると、ちひろさんがすでに朝食の準備をしている。
「あ。おはようございます」
138: ◆eBIiXi2191ZO[sage saga]
2020/09/22(火) 21:38:12.84 ID:CC20O+KU0
「高垣さん、おはようございます。お体、いかがですか?」
「ええ、おとといよりはだいぶましになりましたけど」
社長さんの問いかけに私は素直に答える。
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