【ミリマスSS】かつて守るべきものだった者
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48: ◆uYNNmHkuwIgM[sage saga]
2020/06/12(金) 22:41:47.70 ID:BHjCA0Mo0



「りっくん、ごはんだよー。」

以下略 AAS



49: ◆uYNNmHkuwIgM[sage saga]
2020/06/12(金) 22:42:48.61 ID:BHjCA0Mo0

「こらこら喧嘩しないの、お父さんももう帰ってくるから、テーブルに座って待ってましょう。」

そう言って、母さんが俺と姉さんの間に入る。言い合いは一旦やめにして、テレビを見ながら父さんの帰りを待つことにする。

以下略 AAS



50: ◆uYNNmHkuwIgM[sage saga]
2020/06/12(金) 22:44:05.66 ID:BHjCA0Mo0

テレビから流れてくるアイドルの歌に耳を傾けていると、玄関が開く音がした。ドタドタドタと大人の男性の足音がして、ガチャっとリビングの扉が開く。

「ただいまー、メリークリスマス。」

以下略 AAS



51: ◆uYNNmHkuwIgM[sage saga]
2020/06/12(金) 22:45:12.94 ID:BHjCA0Mo0

気がつくと俺は庭にいた。中ではさっきまで俺が座っていたテーブルに、俺が座っているのが見える。知らない庭に、知らないリビング、知らない家。

ふと横を見ると姉さんがいた。俺はすぐに気がついた、これは中にいる姉さんと違う姉さんだ。姉さんはチラリと家の中を一瞥し、ふっと軽く微笑んだ。

以下略 AAS



52: ◆uYNNmHkuwIgM[sage saga]
2020/06/12(金) 22:46:28.60 ID:BHjCA0Mo0



目蓋を開けると、真っ白な天井が見えた。消毒液の匂いがツーンと鼻を刺激し、ここが病院なのだと気がついた。ぼやけた頭が徐々に覚めていき、右手がさっきまでみていた夢のように温かいことに気がついた。

以下略 AAS



53: ◆uYNNmHkuwIgM[sage saga]
2020/06/12(金) 22:47:39.41 ID:BHjCA0Mo0

それから医者と看護師さんが駆けつけて、病状を説明してくれた。恐らく疲れと睡眠不足で一時的に自律神経系のバランスが崩れただけで、明日には問題なく退院できるようだ。

「今日は早く上がれたから、家で晩ご飯作ってたの。そしたら店長さんから電話が来てね。病院まで付き添ってくれたのも店長さんみたい。とっても心配してくれて、私が病院に着いたら必死に謝ってくれたわ。」

以下略 AAS



54: ◆uYNNmHkuwIgM[sage saga]
2020/06/12(金) 22:49:06.46 ID:BHjCA0Mo0

あれはいつだったろう?俺と母さんは、あるテレビ番組の密着取材を受けたことがある。番組のタイトルは『北沢志保 悲劇のアイドルの奮闘』。

よくあるドキュメンタリー風のバラエティだ。芸能人の過去の悲劇を勝手に掘り起こして、こんな境遇でも頑張りましたと締めるあの手の番組。

以下略 AAS



55: ◆uYNNmHkuwIgM[sage saga]
2020/06/12(金) 22:50:36.03 ID:BHjCA0Mo0

だから、俺は強くなろうと決めた。姉さんみたいに強くなって、一人でも大丈夫になって、もう姉さんを不幸にしないと決めた。

でも、俺には何も出来なかった。今手元にあるのは、意味のない意地とちっぽけのバイト代、そんなもの何もないのと同じだ。

以下略 AAS



56: ◆uYNNmHkuwIgM[sage saga]
2020/06/12(金) 22:51:43.29 ID:BHjCA0Mo0

深々と頭を下げる頭上から、姉さんの優しい声が聞こえる。

「話してくれてありがとう。頭を上げて。」

以下略 AAS



57: ◆uYNNmHkuwIgM[sage saga]
2020/06/12(金) 22:52:59.35 ID:BHjCA0Mo0

そこまで姉さんは話して、すーっと息を吸う。気持ちを込めるように、ゆっくりと。そしてその気持ちを言葉にして形にする。

「たしかに辛いことはたくさんあったけど、でも、私は一度も自分が不幸だなんて思ったことなんてない。ずっと幸せだよ。だって、私にはお母さんと陸がいる。」

以下略 AAS



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