【ミリマスSS】かつて守るべきものだった者
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52: ◆uYNNmHkuwIgM[sage saga]
2020/06/12(金) 22:46:28.60 ID:BHjCA0Mo0



目蓋を開けると、真っ白な天井が見えた。消毒液の匂いがツーンと鼻を刺激し、ここが病院なのだと気がついた。ぼやけた頭が徐々に覚めていき、右手がさっきまでみていた夢のように温かいことに気がついた。

右手の方を見ると、両手で俺の手を握っている姉さんがいた。下を向いて目を瞑って必死に祈っている姉さんは、まだ俺が目を覚ましたことに気がついていないみたいだ。

姉さんをびっくりさせないよう、小さな声でそっと呼びかける。

「姉さん...おはよう...。」

窓の外はまだ暗いので、俺が倒れてから数時間くらいしか経っていないと思うけど、どんな言葉をかけていいかわからなかったので、おはようと言ってみた。

姉さんは顔を上げて、俺の方を見る。目がひどく充血していて、顔は青白く、頬には何本も涙がつたった跡が見えた。

「りっくん...大丈夫なの!?頭痛くない!?めまいはしない!?」

取り乱した様子の姉さんを出来るだけ安心させたくて、笑顔で答える。

「うん。どこも痛くないし、めまいもないよ。」

それを聞くと姉さんは声をあげて泣き始めた。迷子の少女がお母さんを見つけたときみたいに、安堵に包まれたような泣き顔だった。

  


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