アルコ&ピース酒井「Black Savanna」
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11: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 19:58:43.41 ID:z3oD1mZbo
三月。
オレらはまだ、前半はなんとか普段通りにやれていた。けど、それでも感染対策だ、なんだっつって後半のスケジュールから段々と白紙になりだした。
メディアも大変よ、ほんと。人気稼業ってのはこう言う時しんどい。普通の人と同じように、仕事できるわけじゃねえから。
いかなラジオスターとて残念なことにオレもただの人の子、対策つっても簡単なことしか出来ねんだけど。
口元にマスクってのは芸能人のトレンドっしょ、とかなんとか、普段からやってっけど余計色んなこと気を付けなきゃなんねえなと思った。
以下略 AAS



12: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:00:44.18 ID:z3oD1mZbo
突然思い出すのは、あの唐突な揺れ。
そしてまたあの時みたいに、進行方向の信号が赤に変わる。今度は揺れたり、躓いたりする事こそなかったけど、やっぱりなんか変な感じがしてビルの方を向く。
まさか、な。そんなわけないだろ。
そう期待したけれど。

以下略 AAS



13: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:01:29.92 ID:z3oD1mZbo
ガシャン。

なんか、音がした。

オレのすぐ隣に、何かが落ちた。遅れて全身にぞっ、と鳥肌が立ち、冷や汗がぶわっと吹き出て身体中が震え出す。ああ、なんだよ。なんだっつうんだよ。
以下略 AAS



14: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:02:49.77 ID:z3oD1mZbo
しっかし、最近そんなやべーことばっかしだな。死にたくねえわ、そんな事件事故で。笑えねえって、そんなラストは。
芸人っつーくらいなら、最期もちゃんと笑える方がいいんだろうか、とかつい考えちまう。

「ちなみにさ、」

以下略 AAS



15: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:03:40.89 ID:z3oD1mZbo
一本吸って、まあいい時間だし行くか、と喫煙室の扉を開けた。がちゃ、と軽い金属音と共に扉が開く。そっから楽屋へ、と一歩踏み出したら、廊下の奥の方によく知る人がいるのを見た。

「あれ、平子さん?」

聞こえてないのか、意図的に無視してんのか。そいつはどっかに言ってしまう。長い廊下の奥の方に歩いていこうとしていた。
以下略 AAS



16: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:04:36.16 ID:z3oD1mZbo
四月。
テレビの仕事が一回、全部吹っ飛んだのが痛い。人によっちゃあ、三週間休みなんてもんが来るような状態だ。あのオードリーですら「連休寄越せ!」とかつい前まで言ってたのに、今じゃ「ほぼ毎日家にいる」とか言ってんだぜ?マジやべえよ。
そんなんでご多分に漏れずオレらも影響を受け、独り身には無駄過ぎるほどにめちゃくちゃたくさん時間が出来たから、料理作ったりなんかギター買っちゃったり、そんでこの時間になーんとなく色々出来るようになっちゃったりしねえかなとか思ったりした。
だから、四月のまだ冷たい風が流れたその日の夜も、まだまだ弾けもしないギターを片手に、オレはベランダに出た。月でも見ながら、ギター持ってタバコ咥えて、こっから見える防衛省を見ながら佇む。なんか雰囲気だけでもかっけーな、えげつねぇカッコ良さじゃね?と勝手にほくそ笑んだ。これでギターがジャンジャカ引けりゃあ最高だろうに。
あ、ギターはガチでちゃんっと練習してんの。やりてーことがあって。買う買う詐欺して、えーと、六年?位引っ張ったけど、まあもういいっしょ、ほんとに時間あるしやらせて欲しいなって思ったからふつーにやってる。人気なさそうなYouTube狙って、毎日毎日ぺんぺんやってんの。これマジで。ちょっとは弾けるようになりたかったから。
以下略 AAS



17: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:06:06.24 ID:z3oD1mZbo
履き慣らしたシューズで街を歩く。
夜の街は、今までよりも半分以下の人の出方だった。まあ、そうだろうなって思っちゃう。気を付けよう、って言ってる時だったから。オレもほんとは出ちゃいけないんだろうが、こればっかりは見逃してくれよと思い足早に道を行く。
いつも見る時は車道挟んだ向こう側にある、あのビル。今日はその真ん前に立っていた。
ビルはどこもかしこも光がなく寝静まっている。生命がひとつもないように、しんとしていた。真正面の、正門的なとこは閉まっていて、名前はよく分かんねえけど両側からガラガラって出てくるシャッターみたいなんがある。
さっきのキラキラは、間違いねえ、ここに来たんだ。妙な確信があった。
以下略 AAS



18: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:06:40.75 ID:z3oD1mZbo
「何をしている」

や、うそ。やべぇ。誰かいた。
突然敷地内の方から、短めの声がした。

以下略 AAS



19: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:07:50.13 ID:z3oD1mZbo
オレの脳が理解を拒む。知ってる人だけど、全然こんなの知らない。気張れオレ。夜でも昼みたいに目ぇ開けて、その正門の向こうっ側をちゃんと見てろ。
それでもこの状況には全然理解が追いつかなくて、世界は死んだように凍りつく。張り詰めた緊張感と、何だかどんよりした厭な臭いの張り付いた空気が揺れる。

「なんだよ……なんなんだよ、アンタ何なんだよ」

以下略 AAS



20: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:08:37.08 ID:z3oD1mZbo
「UMAはいんのよ」

「いや、オレUMAはいねぇと思うよ」

そんなこんなで、さらに数日経過して四月の中旬。そう、UMAがいるとか、デケェ蟻見たとか、そんな話をした日まで話がやっと戻ってくる。
以下略 AAS



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