アルコ&ピース酒井「Black Savanna」
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15: ◆z.6vDABEMI[saga]
2020/05/05(火) 20:03:40.89 ID:z3oD1mZbo
一本吸って、まあいい時間だし行くか、と喫煙室の扉を開けた。がちゃ、と軽い金属音と共に扉が開く。そっから楽屋へ、と一歩踏み出したら、廊下の奥の方によく知る人がいるのを見た。
「あれ、平子さん?」
聞こえてないのか、意図的に無視してんのか。そいつはどっかに言ってしまう。長い廊下の奥の方に歩いていこうとしていた。
「や、ちょ、どこ行くんだよおい」
今度こそ聞こえるように言ったはずだ。けれど、なぜか聞いてない。オレの言葉も無視だし、返事もしないし、そのまま歩いていこうとしている。
は?どこ行くんだよテメェは。ちっ、と舌打ちがひとつ。アンタもタバコか?なら喫煙室はこっちだっつーの。
ちょっとイラッとしたので、さらに呼びかけながら追いかけることにした。
二歩、三歩、と歩いたところで、平子さんの姿が曲がり角に消えた。マジでどこ行くんだよ、そっち便所もねえんだって。どこだよ。
ああもう、舌打ちしながら走る。これ以上離されたら、その姿を最後まで追いかけられなくなってしまう。
「なぁおい、どこ行くん……」
走って追いかけて、曲がり角に到達した。
その先に───いない。
「だ……、あ?」
平子さん、居ねえ。なんで?つか、曲がり角の先、扉はあったけど全部会議室とかで誰も使ってねえから空きだったし、入った痕跡もねえし、一応それぞれ確認したけど誰もいなかった。
消えた?
物理的に?
あの巨体が?
……どうやって?
考えても分からなかった。
一応考えたけどマジで分かんなかった。そもそもアレは本人だったのか?……それすら分かんねえ。
だって、すぐ楽屋帰ったらちゃんといたし、そんで「さっき喫煙室の方行きました?」って聞いたらしらばっくれてたし。違う違う、信じてんすよ?信じてっけどしらばっくれてるようにしか感じなかったんすよ!
飲めるようになったー、とかなんとか嬉しそうにしてたコーヒーを飲みながら部屋でまったりTwitterやってた。平常運転かよ。
ネットに入り浸るようになったら終わりだぞマジで。
「現実と妄想に区別付かなくなったら終わりよマジで」
や、お前に言われたかねえわ。
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