190:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:08:17.60 ID:GVB5f6680
◇ ◇ ◆
「ただいまー」
191:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:23:37.36 ID:GVB5f6680
「あれ? 今日レッスンだったのか?
渋谷さん達と遠足だって聞いてたような気が」
「遠足だったよー……でも疲れたぁ……」
192:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:29:11.09 ID:GVB5f6680
手伝うと申し出た洗い物を受け流され、
同じく申し出た父もあら珍しいですねと軽くあしらわれ、
加蓮は結局やる事も無く、父と一緒に母の背中を眺めていました。
193:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:38:56.69 ID:GVB5f6680
遠足、と、四人はそう言ってくれました。
ずっと昔から組み立てていたジグソーパズルの、ずっと欠けていた部分の一つに、
今日というピースがぴったりと填まり込むようで。
194:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:42:12.42 ID:GVB5f6680
気付けば頭を下げていました。
両親に謝るのは、随分と久しぶりのような気がしました。
二人は何も言いませんでした。
195:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:46:57.13 ID:GVB5f6680
「なんで……っ! なんで、加蓮が、加蓮がっ、ごめんなんて、言うの……!」
「ご……ごめんなさい……」
196:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:52:17.75 ID:GVB5f6680
口に出してしまった言葉の恐ろしさを、加蓮はよく分かっているつもりでした。
つもりだけで、何一つとして分かってはいなかったのに。
十年前のたった一言。
197:名無しNIPPER[sage]
2020/05/09(土) 20:00:04.55 ID:GVB5f6680
最初に取り戻した感覚は二つの暑苦しい熱でした。
何か声を絞り出そうとして思い切り咳き込みます。
198:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 20:05:27.01 ID:GVB5f6680
二つの熱から声が響いて、どうも両親のものによく似ていました。
前から、後ろから挟むように抱き締められ、
ただでさえ細い身体が押し延ばされてしまいそうです。
199:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 20:11:44.36 ID:GVB5f6680
――ねぇ、神様。
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