194:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:42:12.42 ID:GVB5f6680
気付けば頭を下げていました。
両親に謝るのは、随分と久しぶりのような気がしました。
二人は何も言いませんでした。
加蓮は面を上げるタイミングを失ってしまい、そのまましばらく頭を下げ続けます。
首と背中が痛くなってきた頃、おそるおそる顔を上げてみると、
エプロンを抱えたままの母は唇を引き結んでいました。
「……覚えてたの?」
「え、あの……うん」
「……そうか」
隣に座っていた父が呟き、顔を両手で覆いました。
その手が、腕が徐々に震え出すのを眺めている内に、
父が泣いているのだと、加蓮は気が付きました。
父だけではありませんでした。
抱えていたエプロンが破けそうなほど強く握り締め、俯き、母が嗚咽を繰り返します。
慌てた加蓮が椅子を蹴倒して立ち上がると、
母はエプロンを目に押し付けてフローリングに崩れ落ちました。
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