もしもし、そこの加蓮さん。
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196:名無しNIPPER[saga]
2020/05/09(土) 19:52:17.75 ID:GVB5f6680

口に出してしまった言葉の恐ろしさを、加蓮はよく分かっているつもりでした。
つもりだけで、何一つとして分かってはいなかったのに。

十年前のたった一言。
たった一言で、二つの生をこの棘だらけの娘に縛り付けてしまったのだと、
加蓮は今ここに至って、ようやく気付く事が出来ました。
気付いてしまうと、すぐに足元が歪み始めます。


透明だった筈の何かが影を伴って現れ、両肩を痛烈に押し付けてきます。
そして加蓮もまた、フローリングへとへたり込んでしまいました。


 「……ごめんなさい」


絞り出せた言葉は、溶けて消えてしまいそうなほど弱々しく。



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