312: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:00:43.90 ID:ZRhpxi3E0
P「!」
紗代子「私のプロデューサーは、将来を夢見たアイドルを引き抜かれても、周りからひどいことを言われても、それで心に傷を負って人前に出られなくなっても、夢をあきらめなかった人です」
P「俺は……」
313: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:01:10.31 ID:ZRhpxi3E0
P「わかった」
紗代子「え?」
P「今、わかった。俺は今、プロデューサーとしての真価を問われているんだ」
314: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:09:07.00 ID:ZRhpxi3E0
P「豊川さん、紗代子をお願いします。できたら可能な限り疲労を取ってやって欲しいんですが」
風花「わかりました。水分補給と、マッサージをしてあげてます」
紗代子「すみません、風花さん」
315: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:10:09.77 ID:ZRhpxi3E0
P「そのまま聞いてくれ。衣装を変える。あの紫のシックドレスだ。歌は『明日……』だ」
紗代子「あの歌はまだ……」
P「練習中なのは、わかっている。だが、歌える。紗代子は歌えるんだ」
316: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:10:39.24 ID:ZRhpxi3E0
P「日本とアメリカ……ラスベガスとの時差、わかるか?」
紗代子「えっ?」
P「こっちはむこうより17時間早い。今が夜8時だからむこうは……」
317: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:11:26.27 ID:ZRhpxi3E0
P「Shahに……あの子に聞かせてやるんだ。会ったとはいえ、そんなに話はできなかったんだろう?」
紗代子「わかりました。歌で聞かせてあげます、あの子に、私のアイドルとしての今までを」
P「それでいい。黒井社長以外の審査員に10点以上を出させる……奇蹟に挑戦だ」
318: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:12:25.02 ID:ZRhpxi3E0
紗代子が舞台に上がる。
これまでにない、スタンドマイク。それでも緊張せずに、ファンの声援に応えながら彼女は前を見据えた。
いつもの、燃えるような瞳だ。
紗代子「あーーー〜〜〜♪♪♪」
319: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:12:56.59 ID:ZRhpxi3E0
紗代子「ここには誰も いない♪
ここには誰も こない♪
独りきりで 迎える朝♪
でも今日からは 違うの♪」
320: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:15:55.63 ID:ZRhpxi3E0
パフォーマンスが終わった瞬間、紗代子は倒れ込みそうになるのを必死でこらえた。伏せた顔は披露で苦悶に歪み、息は完全にあがっている。
だが顔を上げた刹那、彼女は完璧な笑顔で観客に応え、手を振った。
激情の迸るようなステージたった。
観客もそれに対し、惜しみない拍手と声援をおくった。
321:名無しNIPPER
2019/12/29(日) 18:16:22.72 ID:ZRhpxi3E0
十人の審査員は、それぞれ得点のボタンを押す。
それぞれの席にその点数が表示され、司会者はそれを読み上げていく。
司会「これはすごい! 10点、10点、10点、10点、10点、10点、10点、10点、10点……」
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