318: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:12:25.02 ID:ZRhpxi3E0
紗代子が舞台に上がる。
これまでにない、スタンドマイク。それでも緊張せずに、ファンの声援に応えながら彼女は前を見据えた。
いつもの、燃えるような瞳だ。
紗代子「あーーー〜〜〜♪♪♪」
前奏が始まるより早く、紗代子は絶唱する。
そう、あの時のように。
P「思い出せ、とは言ったが……」
いいかけてプロデューサーは苦笑する。
そうだった。この娘は、こうだった。
言われたことは素直に、時に頑迷に、そして着実に実行するんだった。
そして観客はやはり、紗代子の呼びかけの声に、応えるように魂をふるわせた。
その証拠に、一瞬ーー駆けつけたファンの間からすら音が消えた。
全員が、その全身全霊を紗代子に向けていた。
やがてーーわすれていたかのように、怒濤のような歓声が紗代子を包む。
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