309: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 17:57:56.07 ID:ZRhpxi3E0
P「なぜだ……」
紗代子「え?」
P「どうして紗代子は、そんなにも希望を持っていられるんだ……希望を捨てずにいられるんだ……どうして……」
310: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 17:58:27.49 ID:ZRhpxi3E0
紗代子「プロデューサーに教わるまで、私はこんなステップどころか普通にダンスをすることもできませんでした」
P「? ああ」
紗代子「今は、歌えば歌声をほめられたりします。でも、発声の基本も、歌に気持ちをのせる方法も、プロデューサーが教えてくれました」
311: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 17:59:12.59 ID:ZRhpxi3E0
紗代子「夢の、あきらめかたです」
312: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:00:43.90 ID:ZRhpxi3E0
P「!」
紗代子「私のプロデューサーは、将来を夢見たアイドルを引き抜かれても、周りからひどいことを言われても、それで心に傷を負って人前に出られなくなっても、夢をあきらめなかった人です」
P「俺は……」
313: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:01:10.31 ID:ZRhpxi3E0
P「わかった」
紗代子「え?」
P「今、わかった。俺は今、プロデューサーとしての真価を問われているんだ」
314: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:09:07.00 ID:ZRhpxi3E0
P「豊川さん、紗代子をお願いします。できたら可能な限り疲労を取ってやって欲しいんですが」
風花「わかりました。水分補給と、マッサージをしてあげてます」
紗代子「すみません、風花さん」
315: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:10:09.77 ID:ZRhpxi3E0
P「そのまま聞いてくれ。衣装を変える。あの紫のシックドレスだ。歌は『明日……』だ」
紗代子「あの歌はまだ……」
P「練習中なのは、わかっている。だが、歌える。紗代子は歌えるんだ」
316: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:10:39.24 ID:ZRhpxi3E0
P「日本とアメリカ……ラスベガスとの時差、わかるか?」
紗代子「えっ?」
P「こっちはむこうより17時間早い。今が夜8時だからむこうは……」
317: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:11:26.27 ID:ZRhpxi3E0
P「Shahに……あの子に聞かせてやるんだ。会ったとはいえ、そんなに話はできなかったんだろう?」
紗代子「わかりました。歌で聞かせてあげます、あの子に、私のアイドルとしての今までを」
P「それでいい。黒井社長以外の審査員に10点以上を出させる……奇蹟に挑戦だ」
318: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:12:25.02 ID:ZRhpxi3E0
紗代子が舞台に上がる。
これまでにない、スタンドマイク。それでも緊張せずに、ファンの声援に応えながら彼女は前を見据えた。
いつもの、燃えるような瞳だ。
紗代子「あーーー〜〜〜♪♪♪」
319: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 18:12:56.59 ID:ZRhpxi3E0
紗代子「ここには誰も いない♪
ここには誰も こない♪
独りきりで 迎える朝♪
でも今日からは 違うの♪」
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