215: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:39:16.79 ID:ZRhpxi3E0
善澤「才能を見いだし、育て、その成功を夢見ていたアイドルが突然に引き抜かれ、彼は精神的に大変なショックを受けてね」
紗代子「そんなことが……」
216: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:39:48.04 ID:ZRhpxi3E0
初めて聞くプロデューサーの過去に、紗代子は少なからず衝撃を受けた。
確かに外国に行っていたという話は、結果として嘘だったのかも知れないが、それでもプロデューサーに対する同情が胸に去来する。
苦労して、夢の実現まであと一歩という所での挫折……いや、絶望。その悲しさや苦しさは、いかばかりだっただろうか。
瞬間、あの夜のことが脳裏に蘇る。
765プロオーディションを落ちた、あの夜の自分の苦しみだ。
217: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:42:08.29 ID:ZRhpxi3E0
善澤「うむ。僕も、そうじゃないかと思ったんだ。アメリカでのデビュー、そして活動を始めた時期、そのポテンシャル。写真からでは少しわかりにくいが、そう思って見るとかつての面影もある気がする」
善澤が、件の週刊誌をカバンから取り出す。
この娘が、かつて自分のプロデューサーの担当アイドルだった……
そう思うと、紗代子は不思議な思いがした。
218: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:44:39.61 ID:ZRhpxi3E0
紗代子「……」
瑞希「……ショックでしたか? 高山さん」
紗代子「え?」
219: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:45:12.58 ID:ZRhpxi3E0
瑞希「それは……以前にも言いましたが、高山さんは心の強い人です。きっと高山さんのプロデューサーも……」
紗代子「うん。正直、瑞希ちゃんにそう言ってもらえるのは嬉しいよ。でも、あのオーディションでそういうの、プロデューサーはわかったのかな?」
瑞希「それは……確かにあのオーディションは、面接がほとんどでした」
220: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:45:56.75 ID:ZRhpxi3E0
瑞希「はい。高山さんのプロデューサーは、高山さんを見つけた。プロデュースをしたいと思った。そしてプロデュースをして、人前に出られるようになった。高山さんも、ちゃくちゃくと実力をつけています」
紗代子「うん……」
瑞希「これらは全部、本当にあった事です。それだけで十分ではないでしょうか」
221: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:46:30.72 ID:ZRhpxi3E0
紗代子と瑞希が電車に乗って帰っているのと同じ頃、当のプロデューサーは劇場内の、あの暗い部屋にいた。
相変わらず光源はディスプレイしかなく、その黄昏のような灯りで彼は週刊誌を読んでいた。
音無小鳥が隠したものではない。もうとっくに彼はそれを見つけ、手に入れていた。
小さなその記事は、読めば数分程度の長さだ。
222: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:49:18.94 ID:ZRhpxi3E0
『すべては嘘だった』
223: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:49:52.62 ID:ZRhpxi3E0
紗代子「て、テレビに出演ですか!?」
P「もうそろそろ、そういう段階に進んでもいいかと思っている。どうだ? やるか?」
紗代子「は、はい! もちろんやりたいです!! やらせてください!!!」
224: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:50:31.83 ID:ZRhpxi3E0
静香「紗代子さんの努力はわかってます。でも……なんだかどんどん先に進んでいって、私は置いて行かれてるような……」
P「……じゃあ、紗代子と一緒に出るか?」
静香「え?」
225: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:51:08.47 ID:ZRhpxi3E0
P「最上さんは見た感じ160とちょっとぐらいだろう?」
静香「はい。162cmです」
P「そのぐらいの娘がちょうどいいんだ」
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