188: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:12:41.15 ID:ZRhpxi3E0
紗代子「ずっと、私を見ていて……いいえ、教えてください! トップアイドルになる夢の叶えかたを!!」
実際、プロデューサーは内心このままここから去ろうかとも考えていた。
逃げ出したかった。
少なくとも紗代子に、顔向けが出来なかった。
189: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:13:26.20 ID:ZRhpxi3E0
公演が終了した後、765プロ劇場はちょっとしたパニックに陥った。
公演前はまばらだったグッズ売り場に、お客さんが大挙して押し寄せたのだ。
紗代子関連のグッズは見る間に完売し、急きょ倉庫から在庫が運ばれた。
190: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:14:29.14 ID:ZRhpxi3E0
気がつけば、紗代子が上から顔を覗き込みようにしている。
衣装から私服に着替え、メガネも髪もいつものように戻している。
こうしていると、本当に普通の女の子だ。本当にあの絶唱をした娘と同一人物だろうかと、心配になってくるほどに。
紗代子「あ、驚かせてしまってすみません。プロデューサーは、いつも横になって目を閉じて笑ってるなあって思って」
191: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:15:32.40 ID:ZRhpxi3E0
『プロデューサーも敗者だった』
192: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:16:03.25 ID:ZRhpxi3E0
「歌姫様は、ご機嫌ナナメかい」
「ナナメどころか、癇癪玉をぶつけてきてるよ。どうすんだ、もうすぐ本番だってのに、リハーサルもできちゃいない」
場所はラスベガス。その中にあるベガスを代表する有名ホテル、シーザース・パレス。
歌姫、とやや揶揄の隠った呼ばれ方をされている少女は、そのロイヤルスイートに立てこもっていた。
193: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:16:34.26 ID:ZRhpxi3E0
「よー……ちゃん?」
震える指先が、ヒットした検索結果の一番上を開く。
そこにはあの765プロの新入アイドルとして、高山紗代子の名とプロフィールが掲載されている。
194: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:18:07.87 ID:ZRhpxi3E0
「準備はすべて終わっている。リハもしてないが、いけるのか?」
彼女は答えなかった。代わりに、ハイトーンで歌い始める。
「馬鹿な。まだステージじゃないんだぞ」
195: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:18:44.76 ID:ZRhpxi3E0
翼「歌姫にラスベガスが揺れた。デビュー間もない新鋭歌姫。既に貫禄のショー。えっと……これなんて読むのかな〜?」
未来「えっと……さ……し? す……違うかな、せ……そ?」
196: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:20:43.85 ID:ZRhpxi3E0
静香「じゃあやっぱり、このShahっていう人、中央アジア出身なのかな」
翼「とか言って案外、日本人だったりして〜」
のり子「まっさか〜。でもそんなにいい歌なら、ちょっと聞いてみたいよね」
197: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:21:19.61 ID:ZRhpxi3E0
可憐「ほ、本当にお知り合い……なんですか?」
紗代子「ど、どうかな……なんとなく見たことあるような気がするだけのかも知れないし……」
琴葉「写真も白黒で小さいしね。東洋系だから、親近感あるだけかも知れないわね」
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