190: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:14:29.14 ID:ZRhpxi3E0
気がつけば、紗代子が上から顔を覗き込みようにしている。
衣装から私服に着替え、メガネも髪もいつものように戻している。
こうしていると、本当に普通の女の子だ。本当にあの絶唱をした娘と同一人物だろうかと、心配になってくるほどに。
紗代子「あ、驚かせてしまってすみません。プロデューサーは、いつも横になって目を閉じて笑ってるなあって思って」
P「ぐ、偶然だ。そうだ……見ておくんだ。この光景を」
紗代子「え?」
P「ここの売店だけじゃないぞ。倉庫も空っぽだ」
紗代子「これ、私の歌で……?」
P「そうだ。紗代子のステージを見て、みんなファンになってくれたんだろう」
紗代子「……嬉しいです」
P「まだまだトップアイドルへの道はこれからだ……レッスンだって現場だって、辛いこともあるだろう。けれど……」
紗代子「はい。この光景を、忘れないでおきます」
薄暗い、物のなくなった売店という、ドラマのワンシーンとはほど遠い、殺風景な光景を2人は目に焼きつけるようにしてしばらくの間、佇んでいた。
344Res/278.89 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20