高山紗代子「敗者復活のうた」
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189: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:13:26.20 ID:ZRhpxi3E0

 公演が終了した後、765プロ劇場はちょっとしたパニックに陥った。
 公演前はまばらだったグッズ売り場に、お客さんが大挙して押し寄せたのだ。
 紗代子関連のグッズは見る間に完売し、急きょ倉庫から在庫が運ばれた。

美咲「て、手伝ってください。お願いします〜」

P「い、いや、お、俺は……」

 言いかけて彼は考え直す。
 今日の主役は、紗代子だ。その紗代子が起こした成功の証しなのだ、これは。
 体験し、見届けておこう。自分は彼女のプロデューサーなのだから。

「今日の高山紗代子ちゃんの歌、CDはないんですか?」

P「申し訳ありません。CDは近日発売予定です。配信も同時販売の予定でして」

「タオルを3枚ください! 自分用と保存用と布教用!」
「マスコットぬいぐるみ、もうないの!? Tシャツは!?」
「ラバストがあるの!? 全部一揃いください!!!」

 売れたのは紗代子のグッズだけでなく、触発されるように他の娘のグッズも売れ出し、とうとう売店も倉庫もカラになってしまった。
 観客が帰り静寂の戻った劇場で、プロデューサーは鈍りきった身体を隠そうともせずに投げ出す。
 疲労感は強いが、それ以上に満足と達成感に満たされる。
 自分と紗代子が、この劇場のグッズを空にしてやったのだ。
 知らず、笑みが漏れる。

紗代子「いつも……」

P「うおわっ!」


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