194: ◆VHvaOH2b6w[saga]
2019/12/29(日) 15:18:07.87 ID:ZRhpxi3E0
「準備はすべて終わっている。リハもしてないが、いけるのか?」
彼女は答えなかった。代わりに、ハイトーンで歌い始める。
「馬鹿な。まだステージじゃないんだぞ」
プロモーターであるコーエンなどお構いなしに、彼女は歌いながら廊下を歩いて行く。
そしてそのままステージに登る。
「あ〜〜〜♪♪♪」
司会も呆気にとられる登場と、絶唱。
観客も驚くがもさすがにサプライズ好きで、慣れているベガスの常連客である。
すぐにコロッセオは、熱狂に巻き込まれた。
最初の1曲を歌い終え、満座の拍手を浴びながら、彼女の目はまったく観客を見ていなかった。
彼女の目は、そこから見えないはずの遠く……海の向こうを見ていた。
「よーちゃん。負けないよ……私、負けない!」
そう呟く少女は、心底嬉しそうだった。
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