76: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/03(木) 01:04:56.67 ID:1OeslLNk0
――――――――――――
ここまで。
国村健臣は前作の主人公。今作はその2−3年後くらい? 出世街道まっしぐら。
77:名無しNIPPER[sage]
2019/10/03(木) 03:47:01.82 ID:VzT2CTQoo
おー国村さん出てきたか
78:名無しNIPPER[sage]
2019/10/03(木) 08:42:34.45 ID:bBYdjhmnO
乙
国村提督も元気そうで安心した
79: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/07(月) 00:48:43.50 ID:a3VuJV360
結局私は自らの基地コードを確認することすらできなかった。それは私が彼らの言ったことを殆ど真実であると受け止めているということである。悔しいことに。
事実は理解とは無関係に存在している。自らに都合よく、甘やかしてくれる「理解」とは正反対に、やつは冷徹で手厳しい。こちらの意志も、希望も、お構いなしだ。
なんとか嗚咽が零れそうになるのを殺しつつ、「少し考えさせて」と、それだけを言うことができた。不知火が提督を向く。提督は全く不服そうに、「楽に生きるんじゃねぇのか」と漏らす。
80: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/07(月) 00:50:09.40 ID:a3VuJV360
それは私が願っていた人生のはずだ。
いつか、私の――私たちの人生に分厚くかかった曇天にも穴が空いて、太陽が顔をだし、暖かい光が包みこんでくれる。そうでなければ酷いではないか。そうであってほしい。
もしこれがそうなのだとしたら、なんて意地悪な神様もいたものだ。考えうる限り不味く調理されたフルコース、その前菜が厭味ったらしくテーブルに置かれている。ナプキン代わりの押し付けがまさとともに。
81: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/07(月) 00:51:22.11 ID:a3VuJV360
幸せに生きたかった。姉さまがいれば冷たい雨も熱い日差しもへいちゃらだった。どんな困難でも、二人ならば生きていけると思った。生きてきた。
孤独が肌を刺す。
82: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/07(月) 00:52:48.90 ID:a3VuJV360
「……不知火と?」
「大淀と提督も」
83: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/07(月) 00:54:32.78 ID:a3VuJV360
「北海道で降りるのか?」
「……」
84: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/07(月) 00:56:10.44 ID:a3VuJV360
「……そうですか」
「冷たいか?」
85: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/07(月) 00:58:15.51 ID:a3VuJV360
グラーフはこちらの無言をどうとったのか、ふ、と笑う。
「わからないことに悩むのは有意義とは言い難い。そうじゃないか? 非生産的だな。我々に備わった論理的思考力をどぶに捨てているようなものだろう。
ただ、なあなあの論理思考ではだめだ。全力で想定する。ありとあらゆる可能性を考えた上で、最も有りうべき未来にベットする。的中率六割なら上出来だろう」
86: ◆yufVJNsZ3s[saga]
2019/10/07(月) 01:00:17.75 ID:a3VuJV360
「……ん」
勢いよくグラーフが立ち上がった。膝の上から本が床に落ちるが、彼女はそんなことお構いなし、一目散に駆ける。
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