1:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/07(水) 21:55:54.69 ID:FXFeKFhtO
クレヨンしんちゃんの映画に、『ヘンダーランドの大冒険』という名作があって、その中に登場するトッペマ・マペットという人形の女の子が歌う曲を、私はとても気に入っていた。
周囲を建物で囲われ、街の喧騒に取り残されて迷子のような気持ちになった時、ふと思い出したその曲を口ずさんでいると。
「やあ! ぼくは、ス・ノーマン・パー! 良い子の味方さ! こんなところで何してるんだい?」
忽然と雪だるまの怪人である、ス・ノーマン・パーが眼前に現れて、人の良さそうな雰囲気を纏って気さくに話しかけてきた。
まさかトッペマの曲を口ずさんでいたとは言えず、私は咄嗟に大人ぶってこう返した。
「ノスタルジーに浸っていたの」
「なるほど、さすが兄貴だ! 惚れちゃうぜ!」
冷んやりとした冷気を身に纏い、ちっとも熱がこもっていない軽薄な口調で惚れたと言われても、何ひとつとして胸には響かなかった。
「兄貴じゃないし」
「なら、姉貴と呼ばせて貰ってもいいかい?」
「好きにすれば」
ス・ノーマン・パーは悪い怪人だ。
かつてオカマ魔女によってその姿と性格を変えられた気の毒な過去があったとしても、雪だるまとなった今の彼は冷たくて冷酷な男だった。
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/07(水) 21:58:26.06 ID:FXFeKFhtO
「そう言えば、姉貴」
「なに?」
「変なトランプを知らないかい?」
ほら、やっぱり聞いてきた。予想通りだ。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/07(水) 22:00:03.32 ID:FXFeKFhtO
「いや〜助かったぜ、姉貴!」
用を済ませた彼は、白々しく感謝をしてきた。
「済んだなら、もう帰って」
4:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/07(水) 22:02:01.94 ID:FXFeKFhtO
「……使い方はわかってんのか?」
「スゲーナ・スゴイデス!」
私は間違わない。正確な発音で呪文を唱えた。
5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/07(水) 22:04:25.40 ID:FXFeKFhtO
「作戦タイム!」
「認める」
ぶりぶりざえもんをボコった後、作戦タイムを申し出ると、雪だるまは認めてくれた。
6:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/07(水) 22:06:29.42 ID:FXFeKFhtO
「どうしよう」
「どうする」
「どうしたら」
「……少し席を外すぞ」
7:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/07(水) 22:07:57.16 ID:FXFeKFhtO
「アクション・ローキック!」
「ぬあっ!?」
狼狽した雪だるまの隙を突いたアクション仮面のローキックが炸裂。奴は盛大に転んだ。
雪だるまの性質上、身体が丸いス・ノーマン・パーはなかなか起き上がることが出来ない。
8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/08/07(水) 22:09:42.27 ID:FXFeKFhtO
「あ、熱い! 身体が燃えるように熱いっ!?」
「フハッ!」
効いてる効いてる。私達の熱が届いている。
しかもそれは便の熱である。胸が熱くなる。
9:名無しNIPPER
2019/08/08(木) 00:08:14.05 ID:DMzUk07Mo
これは予想外
おつ
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