22:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:15:29.96 ID:zmX2O7Gg0
それは、今から1800年ほど前のこと――。
この大地は、魔界からやってきた魔物の毒で汚されていた。人々は病に苦しみ、争いも絶えなかった。
混迷の中、事の発端である魔物を退けようと一人の若者が立ち上がった。
23:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:16:02.11 ID:zmX2O7Gg0
しかしそれから500年後のこと。王家に双子の王子が生まれた。
このうち兄である第一王子は、満月の夜に狼に変化し、暴走してしまうのだった。家臣たちは初代女王の先祖返りだと恐れた。
息子を憐れんだ王はこの情報を秘匿し、第一王子の人生に影響しないよう努めた。
24:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:16:34.44 ID:zmX2O7Gg0
育「先祖返り……そんな、王家に悲劇をもたらすって……」
美也「はい。ターニャ様は800年ぶりに生まれた、記録上3人目の先祖返りの王族なんです」
育「それじゃあターニャが病気で療養してるっていうのも――」
25:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:17:03.11 ID:zmX2O7Gg0
環「ガルルル……アオォォーーーン!!」
美也「鎮まりください、姫様……」スッ
バリバリバリッ
26:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:17:32.48 ID:zmX2O7Gg0
育「ぼくにまかせてください。必ず、ターニャを落ち着かせてみせます」
美也「イグナスさん、しかし――」
育「おねがいします! ぼくもターニャのために、できることをしたいんです」
27:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:17:59.83 ID:zmX2O7Gg0
育「いたっ! ぐっ……このくらい平気だよ。どんな姿でも、ターニャはターニャだ。君がぼくを食べるなんて、そんなことあるもんか」
環「グゥゥゥ!!」
育「初めて君と見つめ合ったとき、夕焼けみたいにきれいな目だと思った……今だってそうだよ。今夜初めて月の光に照らされる君の目を見てる。きれいだよ、ターニャ」
28:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:18:28.62 ID:zmX2O7Gg0
環「ん……もう、朝……。わっ!」
育「……」スヤスヤ
環「イグナス、なんでここに――って、うわああどうしよう! まだ月が沈んでないぞ!」
29:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:18:58.72 ID:zmX2O7Gg0
環「……待って、イグナス」
モフッ
環「イグナスはターニャのことを考えてくれてたんだよね。ターニャを、ひとりぼっちにさせたくなかったんだよね」
30:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:19:33.60 ID:zmX2O7Gg0
育「覚えてないかもしれないけど、満月を見て暴れていた君にぼくが呼びかけたら、君はおとなしくなって、それからずっと眠ってたんだよ」
環「そうなの……?」
育「ぼくの言葉が通じたんだ。ならこの先だって、ぼくが食べられる心配なんてありっこないんだよ」
31:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:20:02.22 ID:zmX2O7Gg0
美也「さて、今朝はオムレツにポテト、それからとれたてのプチトマトを添えて……」
育「ミランダさん、ちょっといいですか?」
美也「おや、イグナスさん。姫様とご一緒ではなかったのですか?」
32:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:20:30.22 ID:zmX2O7Gg0
――数日後、王宮
海美「先祖返りしたターニャを魔術なしで抑えた!? 例のイグナスくんが?」
76Res/77.52 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20