23:名無しNIPPER[saga]
2019/07/09(火) 00:16:02.11 ID:zmX2O7Gg0
しかしそれから500年後のこと。王家に双子の王子が生まれた。
このうち兄である第一王子は、満月の夜に狼に変化し、暴走してしまうのだった。家臣たちは初代女王の先祖返りだと恐れた。
息子を憐れんだ王はこの情報を秘匿し、第一王子の人生に影響しないよう努めた。
ところが二人が成長し後継争いが勃発。第二王子は兄の体質を利用し、「兄は悪魔に魂を売り渡し化け物となった」と民に触れ回った。
第一王子は、恐怖で団結した第二王子側の勢力に追い詰められるも監禁先の牢獄で先祖の力が暴走。敵勢力をすべて壊滅させ、ついに第二王子をも食い殺してしまった。
やがて第一王子は正統な王となり後継者も生まれたが、己の力が災いをもたらすことを恐れ、自らの意思で人生の大半を牢の中で過ごした。歴史上最も孤独な王であった。
それからさらに500年後、今度は先祖返りの王女が生まれた。
500年前の悲劇を繰り返さぬよう、王女は手厚く育てられた。満月の夜以外は普通の少女として過ごした少女はすくすくと成長し、一人の男性と結ばれた。
愛する人と共に暮らし始めた王女だったが、とうとう悲劇は起きた。ある満月の夜、狼と化した王女が無意識のうちに最愛の伴侶を食い殺してしまったのだ。
翌朝、我に返りすべてを知った王女は、失意の末自ら命を絶った。
以来800年間、ヴォルフス王家に先祖返りは生まれていない。記録上は――。
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