【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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87: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/18(火) 23:47:52.41 ID:BLRBsoCc0

 そう、その人は「マスター」と呼ばれていた。

 多分喫茶店のそれをイメージしているのだろう。
 彼女は桜舞う真夏のオープンカフェを一手に引き受け、思い思いの時間を楽しむ人々にドリンクや軽食を提供しているのだった。
以下略 AAS



88: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/18(火) 23:49:08.76 ID:BLRBsoCc0

 対するマスターは首を捻るばかり。

「……そうかしら?」
「いや、すみませんなんでもないです。あーいかんいかん酔ってるな……」
以下略 AAS



89: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/18(火) 23:50:00.64 ID:BLRBsoCc0

 気付けば高垣さんと柊さんがこっちを見ていた。

「な、なんですか」
「『どこかで会ったか』……なんて、ずいぶん古典的な手を使うのね?」
以下略 AAS



90: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/18(火) 23:51:19.26 ID:BLRBsoCc0
 
 歌?


 提案を受け、高垣さんは困ったような顔をした。
以下略 AAS



91: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/18(火) 23:53:48.21 ID:BLRBsoCc0

「夜市の歌姫が空席で、寂しいのよ。クロさんもこう言っていることだし……どうかしら?」

 思いのほか長い時間をかけ、高垣さんはグラスのワインを飲み干して。

以下略 AAS



92: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/18(火) 23:54:40.59 ID:BLRBsoCc0




 最初の一声で、酔いが醒めた。
以下略 AAS



93: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/18(火) 23:55:30.59 ID:BLRBsoCc0



 彼女の歌には「色」があった。

以下略 AAS



94: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/18(火) 23:58:52.82 ID:BLRBsoCc0


 誰もがそこにいて、声を聞いていた。

 グラスを傾ける柊さんも、カップを磨くマスターも、ハーブティーを楽しむ花屋さんも、文庫本をめくる古本屋さんも、
以下略 AAS



95: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/19(水) 00:00:28.34 ID:H28+Nx7V0

   〇


「カナリヤというあだ名は、彼女が歌うのをやめたことから付いたの」
以下略 AAS



96: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/19(水) 00:02:29.68 ID:H28+Nx7V0

 柊さんは即答した。
 と、弱りきった高垣さんの声がかかる。
 見ると感激した他の客に殺到され、押し合いへし合い握手したりハグされたりの彼女がこちらに助けを求めている。

以下略 AAS



97: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/19(水) 00:03:23.58 ID:H28+Nx7V0

「――ああ、びっくりした」

 やんややんやと囃し立てる酔客たち。
 桜の雲の下には、参道で会ったお店の子たちがちらほらいて、こちらを見上げていた。
以下略 AAS



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