【たぬき】高垣楓「迷子のクロと歌わないカナリヤのビート」
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93: ◆DAC.3Z2hLk[sage saga]
2019/06/18(火) 23:55:30.59 ID:BLRBsoCc0



 彼女の歌には「色」があった。



 たとえば、夜気を震わす声の波紋。応じて生まれるささやかな風。揺れる花弁と、たゆたう光の提灯たち。

 声に振り返る他の客、耳に染みて広がる笑顔、小さく唱和される童謡のワンフレーズ。

 形を持たず、目にも見えず、だが確かに存在する。


 彼女を中心に波及し、何もかもを塗り替える清(さや)かな音の色が。





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