【ミリマス】馬場このみ『衣手にふる』
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271: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:45:38.78 ID:Bg3Eqo0s0

吹いていた冷たい風は、もう止んでいた。
このみは上手側へ、ゆっくりと歩き出した。
白く染まった地面を歩くたびに、雪を踏む音が響いた。

以下略 AAS



272: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:46:11.92 ID:Bg3Eqo0s0

気が付けば、音が、声が聞こえていた。
割れそうなほど大きな、たくさんの声が、客席から聞こえてきた。
このみは、前を向いたままだった。
しかし、それが自分を見守ってくれた人たちの声だと、確かに分かった。
以下略 AAS



273: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:46:43.90 ID:Bg3Eqo0s0

ステージの上に照明が一斉に灯るのを、このみは薄暗がりの舞台袖からただ見ていた。
そこには、このみ以外の、大勢の劇場のアイドルたちが立っていた。

このみのソロ──最終ブロックの最後の曲──を終え、この公演も終わりが近づいていた。
以下略 AAS



274: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:47:11.77 ID:Bg3Eqo0s0

スタッフからマイクの取り外しが終わった旨の報告を受けて、このみの意識は舞台袖に戻ってきた。
このみはお礼を言い、彼女と別れた。
その場でふと辺りを見回すと、このみのプロデューサーがすぐそばにいた。
顔を見れば、彼は敢えて声をかけないでいてくれたんだと、このみには分かった。
以下略 AAS



275: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:48:05.57 ID:Bg3Eqo0s0

このみは、ゆっくり目を開けた。
目の前の彼に、そっと訊いた。

「その……。私のステージ、どうだったかしら?」
以下略 AAS



276: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:02:59.71 ID:Bg3Eqo0s0

「でも、まだ……。今日の公演は、終わってません。……そうですよね?」

彼は、言葉を飲み込んで、溢れる気持ちを抑えるようにして、そう続けた。
彼は涙を拭きながら、このみにあるものを差し出した。
以下略 AAS



277: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:03:57.76 ID:Bg3Eqo0s0

「あれあれ?誰かひとり、足りませんなあ?」

「お。もう、準備もできてるみたいだな。じゃあ、せーので呼んでみようぜ!」

以下略 AAS



278: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:06:00.84 ID:Bg3Eqo0s0

「皆さん、準備はいいですよね?みんなでいきますよー!」

客席のみんなを指さして、未来が大きな声で言う。
歓声が上がって、サイリウムが揺れた。
以下略 AAS



279: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:07:06.01 ID:Bg3Eqo0s0

このみは、大勢の仲間たちとともににステージの真ん中に立っていた。
このみがちらりと後ろを見れば、そこにはまつりや莉緒が居て、二人と目が合った。
そして、両隣を見れば歩と星梨花たちが居て、ステージの上のアイドルたちみんなが、マイクを持つこのみを見つめていた。
このみは目の前の客席に居る人たちを見て、胸が音を鳴らすのを感じながら、それからそっと口を開いた。
以下略 AAS



280: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 01:07:47.32 ID:Bg3Eqo0s0

「事前に知ってくれていた人もいるけれど、さっき聞いてもらった『dear...』の演出は、
 私が出演する舞台の物語を表現したものなの。
 凍える雪の中で『鶴』が青年と出会って、そして『鶴』が人間として過ごした日々……。
 それを、感じてもらえたのなら、本当にうれしいわ。」
以下略 AAS



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