272: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:46:11.92 ID:Bg3Eqo0s0
気が付けば、音が、声が聞こえていた。
割れそうなほど大きな、たくさんの声が、客席から聞こえてきた。
このみは、前を向いたままだった。
しかし、それが自分を見守ってくれた人たちの声だと、確かに分かった。
たくさんの声が溢れるなかで、舞台の照明がすべて落とされた。
それでも、客席から届く声は止まなかった。
照明の落ちた舞台の上で振り向いたまま、動けなかった。
このみには、名前を呼ぶ声が、確かに聞こえた。
あの子の名前を呼んでくれる声も、私の名前を呼んでくれる声も。
それが一番嬉しくて、頬に涙が伝うのが分かった。
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