【ミリマス】馬場このみ『衣手にふる』
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249: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:19:58.41 ID:Bg3Eqo0s0

「れ、レイ……。いや、あのな……。」

「あれ、琴葉ちゃん。もしかして、イヤだった?」

以下略 AAS



250: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:20:27.03 ID:Bg3Eqo0s0

このみの次のステージでは、演出の都合上、ハンドマイクではなく小さなピンマイクを用いることになっていた。
スタッフからピンマイクを着けてもらった後、このみは袖幕のすぐ裏側に来ていた。
舞台のすぐ脇に据え付けられたこの場所は、衝立と幕で他の区画と区切られていて、出番を直前に控えたアイドルの待機所として使われている。
舞台側の衝立には人が通れる程度の隙間が設けられていて、ここを通って舞台に出て行くことができるようになっている。
以下略 AAS



251: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:20:56.42 ID:Bg3Eqo0s0

待機所の中は数メートル四方程度の広さしかなく、詰めるようにしてパイプ椅子3脚と長机1脚が置かれている。
机の上には、アクセサリなどを入れておくための収納棚と小さな鏡が設けられていて、その横には公演で使うハンドマイクを置くためのケースが置かれていた。
マイクケースの内側には、マイクの形を象るようにウレタンが敷き詰められていて、マイクが10本程度収納できるようになっている。
マイクは上手側の舞台袖で全て管理しているのだが、下手側で出番が連続する場合などのために、下手側にもこのようなマイクの仮置き場が設けられている。
以下略 AAS



252: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:21:23.28 ID:Bg3Eqo0s0

このみは、持ち込んだ資料で自分のステージの段取りを確認した後、机の上にある棚をそっと開けた。
そして、たった一つ、ブレスレットを取り出して、それを左手の上に乗せた。
何の変哲もない透明なガラス玉がついた、シンプルなものだった。
決して高価なものではないし、むしろアイドルがステージで付けるアクセサリとしては、いささか粗末なものだった。
以下略 AAS



253: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:23:24.76 ID:Bg3Eqo0s0

このみはしばらくブレスレットを眺めていた。
今日この日まで、本当にいろんなことがあった。
泣いたことも、笑ったことも。
──でも、その全部がいま、胸の中で宝石みたいにキラキラと光ってる。
以下略 AAS



254: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:24:22.89 ID:Bg3Eqo0s0

もう少しの間だけでも触れていたかったが、差し迫る時間は待ってはくれない。
仕方ないと割り切って、もともと入っていた場所に戻そうと、このみは手を動かした。
けれど、その手を引きとめるみたいに、このみの胸の中で声がした。

以下略 AAS



255: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:26:16.51 ID:Bg3Eqo0s0

ケースの置かれた机のすぐ脇は、ステージへと出ていくための通路になっていて、そこから光溢れるステージへと袖幕の道が伸びていた。
光に導かれるように、このみは歩き出す。
5秒前のカウントが始まった。
このみは前を向いて、この道の上に立っていた。
以下略 AAS



256: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:26:45.26 ID:Bg3Eqo0s0

先程まで舞台に立っていたばかりのアクアリウスの3人も、そこにはいた。
どういう訳か、麗花は体の前で琴葉を抱えている。
麗花は、後ろからひょっこり顔を出して、このみに手を振っていた。

以下略 AAS



257: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:27:14.52 ID:Bg3Eqo0s0

これから歌うのは、鶴の物語。
深く雪降る世界で、鶴が人間として青年と共に過ごした日々。
そして、最後に鶴が決めた、一つの選択。

以下略 AAS



258: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:28:06.81 ID:Bg3Eqo0s0

びゅうびゅうと風が雪を叩きつける音が、響いていた。
白いピンスポットが暗転したステージの下手端に投げかけられて、このみを照らしだした。
このみの膝くらいの高さまでスモークが焚かれていて、舞台はまるで雪で埋め尽くされたように染まってしまっていた。
凍えてしまわぬようにと、このみはぎゅうと腕を抱えた。
以下略 AAS



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