【ミリマス】馬場このみ『衣手にふる』
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259: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:28:42.33 ID:Bg3Eqo0s0

そのとき、このみの目の前に薄桃色の光が照らし出された。
このみはその光を見てゆっくりと顔を上げた。
桃色の光はスモークで散乱して、まるでこのみの目の前に誰か立っているように見えた。

以下略 AAS



260: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:29:49.22 ID:Bg3Eqo0s0

光が戻ったとき、このみは白い光に照らされてステージの中央に立っていた。
このみが目を開けると、その先にはこのみをじっと見つめる眼差しがあった。
ペンライトを胸の前で抱えて、祈り見守るような、そんな人たちをこのみは見た。

以下略 AAS



261: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:31:41.37 ID:Bg3Eqo0s0

目の前には、ファンのみんなが居てくれる。
ずっと近くに居てくれた大切な貴方へ、届けたい言葉があるの。
新しい場所へ向かう私を、安心して送り出してもらえるように。
貴方が見つけてくれた私が、最高のアイドルだったと、胸を張って言ってもらえるように。
以下略 AAS



262: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:32:44.83 ID:Bg3Eqo0s0

『love song のようにきらめき
 love song のようにときめき』

雪のように真っ白な、無垢の光の中でこのみは歌う。
以下略 AAS



263: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:33:07.00 ID:Bg3Eqo0s0

この歌『dear...』は、大切な人とすれ違ってしまって、自分の気持ちを伝えられずにいる……切なくて、とても悲しい歌。
自分の気持ちに気が付かなかった頃と違って、もうこの気持ちに出逢ってしまったから。
貴方に気持ちを伝えて、叶わぬ恋だと突きつけられてしまうのが怖くて。
──伸ばした手が、相手に届かなかったのなら。
以下略 AAS



264: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:33:40.24 ID:Bg3Eqo0s0

『夢でもいい 叶えてよ』

でも、きっと本当は分かっていた。
このままの自分だと、大切な人が見つけてくれた自分を、誇りに思えない。
以下略 AAS



265: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:35:55.72 ID:Bg3Eqo0s0

このみの歌声だけを残して、すべての音が消えた。
舞台を彩る照明も、気づけばたった一つだけになっていた。
舞台の真上にある、スポットライトだけがこのみを照らしていた。

以下略 AAS



266: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:38:08.46 ID:Bg3Eqo0s0

劇場の客席から、このみを見つめる目線が、いくつもあった。

20代後半くらいの、リストバンドを手首に一つだけ付けた、若い男がいた。
男はペンライトを胸の前で握ったままで、舞台に立つこのみをじっと見ていた。
以下略 AAS



267: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:39:19.08 ID:Bg3Eqo0s0

このみは、ゆっくりと目を閉じた。
胸に置いた手のひらを通じて、どきどきと鼓動が高鳴るのがわかった。
そして、このみはそっと目を開いて、前を見た。

以下略 AAS



268: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:39:46.77 ID:Bg3Eqo0s0

ある時、息を吸う音がした。
止まっていた時間が、もう一度動き出した。

『love song のようにきらめき
以下略 AAS



269: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:44:12.68 ID:Bg3Eqo0s0

これが、最後のサビ。
この暖かな世界も、もうすぐ終わってしまう。
……でも、大丈夫。
貴方にこの想いを伝えられたから。
以下略 AAS



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