【ミリマス】馬場このみ『衣手にふる』
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258: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/12(金) 00:28:06.81 ID:Bg3Eqo0s0

びゅうびゅうと風が雪を叩きつける音が、響いていた。
白いピンスポットが暗転したステージの下手端に投げかけられて、このみを照らしだした。
このみの膝くらいの高さまでスモークが焚かれていて、舞台はまるで雪で埋め尽くされたように染まってしまっていた。
凍えてしまわぬようにと、このみはぎゅうと腕を抱えた。
身を小さくしながら、このみは一歩、一歩と歩いて行く。
足取りはどこかおぼつかず、深く降り積もった雪に足を取られているように見えた。
このみが脚を動かすたびに、小さく雪を踏みしめる音がした。

歩みを進めるごとに、足元に積もった雪の量は多くなっていくようだった。
中央近くまで歩いたところで、このみの膝ががくんと折れて、白いスモークが舞い上がった。
白い衣を身にまとったこのみは、スモークに隠れてしまいそうだった。
このみは膝をついたまま、雪の冷たさで赤くなった手をいたわるように、手のひらを重ねて白く染まる息を吹きかけた。


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