216: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/06(土) 21:26:40.55 ID:3DhfCsSR0
演出家の男は、このみ達がオーディション参加者であると舞台監督の男に紹介した。
それに合わせるようにして、このみは自己紹介をした。
「765プロの馬場このみと申します。本日はよろしくお願いいたします。」
217: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/06(土) 21:27:21.29 ID:3DhfCsSR0
このみのプロデューサーは、交換した名刺をしまってからこのみの方を見た。
このみは、彼越しに控室に貼られた張り紙をじっと見ていた。
「……このみさん、緊張してますか?」
218: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/06(土) 21:28:25.01 ID:3DhfCsSR0
このみは、控え室の前までやってきた。
扉の前で立ち止まって、深く深呼吸してから扉に手をかけた。
部屋の中には、既に3人の女性がいた。
このみにとって、この部屋に集まった彼女達は、たった一つの役を競い合うライバルになるわけである。
219: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/06(土) 21:28:54.86 ID:3DhfCsSR0
このみが気づけば、数十分あったはずの待機時間も、既に経ってしまっていたらしかった。
扉をノックする音がして、直後部屋に入って来た女性スタッフが、参加者たちに準備が整った旨を伝えた。
このみは他の参加者たちと一緒に返事をして、手に持っていた台本を鞄の中にしまった。
台本を含め荷物は持ち込めないことになっている。
220: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/10(水) 22:49:20.52 ID:yzW+t2Mc0
>>119 >>120の間に抜けがありました。
「行ってしまいました……。」
221: ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 22:02:36.48 ID:E/BVepxA0
>>210と>>211の間に13レス分抜けがありました。
順番に投稿していきます。
222:(1) ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 22:03:07.99 ID:E/BVepxA0
それからの日々も、このみは仕事の合間を縫って、オーディション用の台本に目を通していた。
ある時は事務所の控室で、またある時は移動中の車内で。
掴んだ感覚を途切れさせることのないようにと、このみが台本に触れない日は無かった。
223:(2) ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 22:03:35.63 ID:E/BVepxA0
ふう、と息を吐いて、このみは端に置いておいたペットボトルを拾い上げた。
喉を冷ますようにこのみが水を飲んでいると、扉の方から声がした。
このみが振り返ると、少しだけ開いた扉の間から、二人の顔がのぞいていた。
224:(3) ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 22:04:05.02 ID:E/BVepxA0
このみは持ってきていたタオルなどを小さな手提げ鞄に纏めてから、二人のもとへ戻って来た。
部屋を出た3人は、レッスン室のそばにあるミーティングスペースに来た。
「ここの椅子、ふかふかで好きなのよね〜。」
225:(4) ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 22:04:33.75 ID:E/BVepxA0
莉緒に続いて、このみもクッキーを手に取って、口に運んだ。
ココアのほんのりと甘い香りが広がって、疲れた体を癒してくれるような気がした。
「ん〜。美味しい!」
226:(5) ◆Kg/mN/l4wC1M
2020/06/11(木) 22:04:59.96 ID:E/BVepxA0
莉緒がそう言うと、春香はちょっぴり照れた様子を見せた。
春香は話題を変えるように、このみに聞いた。
「このみさん。今このみさんがやっているのって、どんなお話なんですか?実は私、まだ聞いてなくって……。」
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