8: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:20:31.72 ID:9pdDfgPfo
その場にいる全員が静まりかえった隙に、伊織はさっさとドアを開けて部屋へ入ってきてしまった。
「……エミリーも、いたのね」
9: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:22:13.88 ID:9pdDfgPfo
「ありがとう。お前がいなかったら……」
「礼なんか要らないわよ。 この子がどれだけ辛いか想像したら、いてもたってもいられなくなって……」
まあ、ユニットのリーダーとしてメンバーのために動くのは当然よ、と照れ隠しに伊織が言い放つ。
10: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:23:45.42 ID:9pdDfgPfo
*
さらに翌日、エミリーが劇場に帰ってきたと聞いて駆けつけたアイドルたちに、伊織と俺で事の顛末を丁寧に説明していく。
皆よほど心配していたようで、今日まで何も知らせていなかったぶん少し罪悪感もあった。
11: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:25:36.28 ID:9pdDfgPfo
結果として、他のアイドルたちはエミリーが(今のところ)日本語を話せなくなっている、という事にそこまで悲観的な印象を抱かずに済んだ。
これは伊織がそばにいて、きちんとエミリーとのコミュニケーションを成立させる橋渡しをしてくれたからに他ならない。
皆最初はエミリーの英語に驚いていたものの、むしろ新鮮さすら覚えていたようだ。
事態が事態なだけに複雑な思いもあるが、ひとまずはこれでいい。
12: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:27:47.47 ID:9pdDfgPfo
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その日のユニットでのリハーサルは内容修正の確認と二、三度の通しでの演奏程度に留めることにした。
13: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:29:55.03 ID:9pdDfgPfo
「──どうかな?」
「同感です」
隣にいた秋月律子に尋ねると、真剣なまなざしをステージに向けたまますっぱりと返された。
14: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:30:41.28 ID:9pdDfgPfo
「お客さんにも聞いてみましょうか?」
ヒョイヒョイ、と莉緒がエミリーを手招きし、
15: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:32:44.78 ID:9pdDfgPfo
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その後別ユニットも集合させ、今度は“Eternal Harmony”のリハーサルに同行させる。
16: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:34:51.89 ID:9pdDfgPfo
プロデューサーとして、と己に豪語したくせ、その日の最後のユニットリハは自主練に変更した。
“Princess Be Ambitious!!”でもきっと同じ具合になることが分かりきっていたから。
やはりエミリーにこれ以上心の負担を感じさせたくはない。
俺はどっちつかずの頼りない指導者だ。
17: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:37:05.39 ID:9pdDfgPfo
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【お客様各位 メンバーの出演中止に関するお知らせ
18: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:38:47.00 ID:9pdDfgPfo
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「──起きて……プロデューサー。 起きて」
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