10: ◆AsngP.wJbI[saga]
2019/06/10(月) 20:23:45.42 ID:9pdDfgPfo
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さらに翌日、エミリーが劇場に帰ってきたと聞いて駆けつけたアイドルたちに、伊織と俺で事の顛末を丁寧に説明していく。
皆よほど心配していたようで、今日まで何も知らせていなかったぶん少し罪悪感もあった。
最初はエミリーが元気であるという知らせに喜んでいたものの、順番に話していくにつれみるみる表情が曇っていく。
どうやら全てが伝わったのかついにざわつきだした控え室を、「聞いて」と伊織が静めた。
「私からお願いなんだけれど……エミリーはいつも通りよ。 仕事にも早く戻りたいって言ってるし、何も変わらないの。
ただ、ちょっと今までの話し方を思い出せないままというか……つまり……その……」
どう説明すればいいのか、珍しく言葉を選んで詰まっている伊織に助け舟を出してやる。
「伊織が言いたいのは……あんまり心配とか、同情しているような態度で接するとエミリーがかえって気に病むから、
あくまでいつも通りでいてほしいっていう事だ。だよな?」
伊織も小さく頷いた。
「じゃあ、入ってきてもらうから。 落ち着いて迎え入れてやるんだぞ……伊織」
「ええ。 《エミリー、入ってきていいわよ》」
遠慮がちにドアノブを回し、室外で待たせていたエミリーがゆっくりと姿を見せる。
「「「エミリー!!」」」
やはりというか、アイドルたちは一斉に囲むように駆け寄った。
「もう大丈夫なの!?」
「ステージにはいつ復帰するの!?」
「ホントに英語しか話せないの?」
口々に迫る彼女らにエミリーが困惑の色を見せだしたころ、伊織がエミリーをかばって間に入り込む。
「……だから言ったでしょ。 エミリーに話があるなら私を通して」
呆れと怒りの両方を感じ取ったのか、今度は列になって一人ずつエミリーと会話をしていく流れと相成った。
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