442:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 17:46:02.19 ID:CaLDwjtG0
少女は小鳥の囀りに誘われ、やがて追憶の夢から目を覚ます。
宿の床から身体を起こした愛栗子はまだ隣で眠る紺之介の顔を覗き込んだ。
愛栗子(妬いてしまいそうになるほど凛々しい寝顔じゃの)
443:名無しNIPPER
2020/02/10(月) 17:47:02.21 ID:CaLDwjtG0
愛栗子、憂鬱に浸りつつそっと紺之介にもたれかかる。
今の旅が終わってしまうことが憂鬱なのか、それとも今歩き続けること自体がそれなのか、彼女今一度考えてはみたが答えは出ず。
彼らが幼刀刃踏-ばぶみ-そして奴-ぺど-を失ってはや一月……が、彼らの中の抉られた喪失感未だ癒えず。
444:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 17:47:35.58 ID:CaLDwjtG0
愛栗子「紺……わらわは、どうすれば」
あらゆる意味を含んだ問だった。
彼女の出したか細い声は在るかも知れずの解を追って木造りに吸われていく。
445:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 17:48:50.12 ID:CaLDwjtG0
「あーつめた。顔を洗うのも一憂だわ」
襖が開く。
虚ろを見つめていた愛栗子の瞳は自然と音なる方へと流れていった。
446:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 17:49:53.71 ID:CaLDwjtG0
乱怒攻流「はぁ」
乱怒攻流も感嘆を漏らさずにはいられなかった。
彼らはあと一本の幼刀を収集すれば完遂だったところを逃したばかりか二本も失ってしまっのだ。
漏らす彼女の嘆きの根元、これに尽きる。
447:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 17:51:06.58 ID:CaLDwjtG0
愛栗子「なんじゃ」
乱怒攻流「ずっと、聞かないようにしてきたんだけどさ」
愛栗子「はようせい」
448:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 17:52:04.31 ID:CaLDwjtG0
激情する乱怒攻流とは対極に、愛栗子は己でも厭うほど淡々とした調子で話していく。
愛栗子「ふみが刺されるあの瞬間、ほんの一瞬ではあったがあのままでよいと思ってしもうた」
449:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 17:53:19.71 ID:CaLDwjtG0
愛栗子「ぬしには今一度伝えておこう。わらわは炉を砕こうと考えておる」
乱怒攻流「な、何でよっ」
動揺する乱怒攻流。が、それでもまだ愛栗子調子崩さず。
450:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 17:55:50.79 ID:CaLDwjtG0
愛栗子「紺に頼られたあやつを、強く妬んでしもうた。あの場であやつが砕かれるのをよしとしてしもうた。まるで炉と同じじゃ……奴とわらわとで何が違う。 そう思うと、もはやあの場で奴を追う気すらおこらんかった」
乱怒攻流は愛栗子の言葉に驚愕と不快を抱きつつ児子炉の発言を思い出していた。
乱怒攻流「何よそれっ……最ッ低……!」
451:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 17:56:52.76 ID:CaLDwjtG0
愛栗子の衣服から手を離した乱怒攻流は荷物を纏める紺之介に駆け寄りて小声で告げる。
乱怒攻流「紺之介……ちょっとあいつのこと納めてよ」
452:名無しNIPPER[saga]
2020/02/10(月) 17:57:31.45 ID:CaLDwjtG0
乱怒攻流「珍しく聞き分けいいじゃない」
紺之介「寝起きだったんだろう。あれは何となく歩き出すのに時間がかかりそうだと、そう感じただけだ」
乱怒攻流「そう。まあいいわ……ちょっとあんたに話したいことがあるの」
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