272:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 17:51:08.46 ID:QarN0Zl90
乱怒攻流「久しぶりね。刃踏」
刃踏「もぅ、乱ちゃんも『ふみ』でいいのに」
その名で呼ばれたことに少し不満気な表情を浮かべたのは伝説の一振りが一本、幼刀 刃踏-ばぶみ-である。
273:名無しNIPPER[ saga]
2019/07/10(水) 17:51:51.19 ID:QarN0Zl90
彼女の正体を知りえた所で紺之介は早速と本題に入る。己を見上げた刃踏に紺之介は要件を述べた。
紺之介「どうやらお前に敵意はなさそうだな。勿論お前にも用があってここに来たわけだが、一先ず今の持ち主に会わせてもらおうか」
刃踏「茢楠先生に、ですか? 少し待っててくださいね」
274:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:01:53.31 ID:QarN0Zl90
刃踏は紺之介の話を快く引き受けると寺に駆け足で寄りて声を張り上げた。その声に応えるようにしてこれまた優男を漂わせる声色一つ。
寺の障子が一つ開くと眼鏡をかけたその声の持ち主は姿を現した。後ろからは数人の童の姿もちらついて見える。
茢楠「いやはやこのような何もない寺にお客様とは……申し遅れました。私、田布 茢楠-でんぷ れつなん- と申します。この助寺の管理を一任されているしがなき坊主にございます」
275:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:02:41.19 ID:QarN0Zl90
紺之介「何もない……なんてことはないだろう。現にそこにいるのは幼刀刃踏-ばぶみ-……既に奴の言質は取ってある。俺がここを訪れた理由などそれだけで十分だ」
紺之介の真に迫る声色に一度刃踏と茢楠が和らげた空気が緊張感で上書きされる。緊張感に当てられた何人かの童はそそくさと障子に身を隠した。
姿を現したときは緩かった茢楠の表情もどこか真剣な面持ちとなっておりその中で刃踏だけが困惑した表情で二人を交互に見つめていた。
276:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:03:15.56 ID:QarN0Zl90
紺之介の事情を直感で拾った茢楠は一つ咳払いをして彼を案内した。
茢楠「成る程。では、話はあちらで……」
刃踏「先生……?」
277:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:04:03.70 ID:QarN0Zl90
……………………
茢楠「先ほどから気になってはいましたがもしやそのお二方は……」
乱怒攻流「ええ、あたしは乱怒攻流。まぁ刃踏の知り合いってとこね」
278:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:04:56.78 ID:QarN0Zl90
連られた別室の床で胡座をかきながら紺之介らは淡々と名を、そしてここまでの経緯を語った。
その一方で茢楠と名乗った男も紺之介の名を聞き覚えのあるものだったと告白した。
都から持ち出された伝説が一刀幼刀 刃踏-ばぶみ-は持ち出した梅雨離最高本人の手からこの茢楠に渡されていたのである。
茢楠は紺之介の話を耳に入れながらその時≠ェ来てしまったのかと若干の感嘆に浸りながらも表情は僧なりにその運命を無情に受け入れていた。
279:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:05:33.36 ID:QarN0Zl90
茢楠「話は大体理解できました。幼刀奴を引き入れ都にまた刀を集めるにはフミの協力が不可欠と……いうわけですね。分かりました。彼女にも話してみましょう」
茢楠が何かを諦めたかのように目を閉じ、床を遅緩な動作で立ち上がる様子から愛栗子は目を離せずにいた。
愛栗子(まぁ、そうなるのも無理はなさそうじゃの)
280:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:06:08.32 ID:QarN0Zl90
紺之介「待て」
だがその男を引き止めてしまったのは意外にも紺之介だった。
茢楠「……はい?」
281:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:06:39.27 ID:QarN0Zl90
彼の言葉にしばらく間を抜かした茢楠であったが再び座り直すと己への戒めのつもりだったのか、はたまた僧故の温厚さか、快く紺之介の要望に応えることとした。
茢楠「ええいいでしょう。やはり、気になってしまいますよね」
乱怒攻流「まぁいいんじゃない? 本人もああ言ってるんだし」
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