男「この俺に全ての幼女刀を保護しろと」
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265:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 17:46:51.51 ID:QarN0Zl90
茂る山道に石擦る音。
それに合わせるよう蝉も音を奏でる。


乱怒攻流「ねぇ〜……ちょっとぉ、まだ付かないのぉ?」
以下略 AAS



266:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 17:47:19.12 ID:QarN0Zl90
乱怒攻流「もう疲れたんだけど……」

愛栗子「なんじゃもうへばったのか。その背嚢がおぬしの負担になっておるのではないかえ?」

げんなりとした様子で前屈み両膝に手をついた乱怒攻流を愛栗子が煽る。
以下略 AAS



267:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 17:47:59.24 ID:QarN0Zl90
その理由の蓋開けてみるとまず愛栗子は上がり始めて数十歩のところではや歩を止めてしまったのだ。
その場の石段に座り込む愛栗子に紺之介気を利かせて刀に戻るよう促してみるも、彼女は聞く耳を持たずしてあろうことか彼に自らを背負わせることとしたのだ。
さもなくばここから一歩も動かんとした愛栗子に紺之介は頭を抱えつつも仕方なしと従うこととした。

紺之介が強引な納刀に出なかったのはここまでの旅路で深めた彼らの仲が生んだ優しさとも妥協とも取れる。
以下略 AAS



268:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 17:48:49.61 ID:QarN0Zl90
そのようなことあって今の今まで楽をしてきた彼女に煽られた乱怒攻流が眉間のシワを増やすのは至極当然のことであった。

紺之介「お前はどうする。刀になっておくか」

乱怒攻流「ならない!」
以下略 AAS



269:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 17:49:28.40 ID:QarN0Zl90
と、なれば紺之介の対応もまた同じものとなる。

紺之介「……愛栗子降りろ。もういいだろ。まだ歩くつもりがないなら納刀しておいてやるから」

吐いた言葉は命令形で愛栗子の降背を促すものであったが、実際の彼の動きは強引で腰を下ろすとそのまま愛栗子の腿にかけていた腕も離してしまった。
以下略 AAS



270:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 17:49:55.74 ID:QarN0Zl90
紺之介「乱、乗れ」

乱怒攻流「ぇ……いや、あたしはそんなつもりじゃ……」

紺之介「あー早くしろ」
以下略 AAS



271:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 17:50:35.62 ID:QarN0Zl90
…………………………


重ねること千の段。その先で彼らと最初に目を合わせたのは桃の着風にたなびかせ竹箒で石を撫ぜる少女だった。
乱怒攻流よりか一つ二つ大人びて見える彼女は背負われた背嚢を見て目を見開かせた。
以下略 AAS



272:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 17:51:08.46 ID:QarN0Zl90
乱怒攻流「久しぶりね。刃踏」

刃踏「もぅ、乱ちゃんも『ふみ』でいいのに」

その名で呼ばれたことに少し不満気な表情を浮かべたのは伝説の一振りが一本、幼刀 刃踏-ばぶみ-である。
以下略 AAS



273:名無しNIPPER[ saga]
2019/07/10(水) 17:51:51.19 ID:QarN0Zl90
彼女の正体を知りえた所で紺之介は早速と本題に入る。己を見上げた刃踏に紺之介は要件を述べた。

紺之介「どうやらお前に敵意はなさそうだな。勿論お前にも用があってここに来たわけだが、一先ず今の持ち主に会わせてもらおうか」

刃踏「茢楠先生に、ですか? 少し待っててくださいね」
以下略 AAS



274:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:01:53.31 ID:QarN0Zl90
刃踏は紺之介の話を快く引き受けると寺に駆け足で寄りて声を張り上げた。その声に応えるようにしてこれまた優男を漂わせる声色一つ。
寺の障子が一つ開くと眼鏡をかけたその声の持ち主は姿を現した。後ろからは数人の童の姿もちらついて見える。

茢楠「いやはやこのような何もない寺にお客様とは……申し遅れました。私、田布 茢楠-でんぷ れつなん- と申します。この助寺の管理を一任されているしがなき坊主にございます」

以下略 AAS



275:名無しNIPPER[saga]
2019/07/10(水) 18:02:41.19 ID:QarN0Zl90
紺之介「何もない……なんてことはないだろう。現にそこにいるのは幼刀刃踏-ばぶみ-……既に奴の言質は取ってある。俺がここを訪れた理由などそれだけで十分だ」

紺之介の真に迫る声色に一度刃踏と茢楠が和らげた空気が緊張感で上書きされる。緊張感に当てられた何人かの童はそそくさと障子に身を隠した。
姿を現したときは緩かった茢楠の表情もどこか真剣な面持ちとなっておりその中で刃踏だけが困惑した表情で二人を交互に見つめていた。



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