183:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:40:47.75 ID:/2q0Qaon0
後ろ手を振る男を見送ると紺之介は二人のところへ戻り質問をした。
紺之介「今の話、聞いたな。奴というのはそんなにも幼い女児だったのか? 大好木……どこまで幼女を好んでいたんだ」
愛栗子「まぁの……将軍様の愛した『女』というよりあれは愛娘と言うべきじゃの」
184:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:41:21.39 ID:/2q0Qaon0
乱怒攻流「だからそうだって言ってるじゃない。隠し子の一人や二人いたっておかしくないでしょ。……その、あたしたちみたいなのがいるんだし……?」
愛栗子「まぁそこの背嚢も抱かれておるくらいじゃしの」
185:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:43:32.95 ID:/2q0Qaon0
紺之介「しかし何故また二歳児が刀を……こちらはもっと謎だな」
愛栗子「さあの。それこそ紺、ぬしと同じようなものではないか」
乱怒攻流「なわけないでしょっ」
186:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:44:13.76 ID:/2q0Qaon0
乱怒攻流「そのことに関しては奴の持ち主が一枚噛んでると見て良さそうね。奴は刀なんか興味ないにしろ、持ち主があんたや庄司みたいなやつってのはありえる話でしょ」
紺之介「さっきの話が本当ならそれは失敬だぞ乱。やり方が気に食わん……正々堂々と『己の魂-かたな-』を賭けた決闘にて得た一振りと、夜間に不意打ちで得た物との価値を一緒にするな」
紺之介の瞳に宿る確かな侍魂に乱怒攻流はいつもの呆れを覚えつつも微量ながら敬意も感じてしまうのであった。
187:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:45:15.53 ID:/2q0Qaon0
燃やした瞳のまま紺之介は握り拳を作り謎の使命感を帯びていた。
紺之介「気に食わん奴だ。今晩にでもその腐った精神を叩き直してやるッ……愛栗子、乱。今夜は鞘に直って俺に協力してくれ。夜道に出てその刀狩りとやらをおびき寄せる」
乱怒攻流「はいはい。奴が関わってるのは間違いなさそうだし、仕方ないわね」
188:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:45:43.54 ID:/2q0Qaon0
彼の熱意に押されあっさり承諾した乱怒攻流だったが、彼女とは違い愛栗子は膨れ面のまま茶屋の暖簾を指差していた。
紺之介「……分かったよ」
愛栗子「わかればよい」
189:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:46:28.27 ID:/2q0Qaon0
………………
紺之介「静かな夜だ」
茶居戸の深い夜。腰に幼刀愛栗子-ありす-と幼刀乱怒攻流-らんどせる-を差した紺之介は久しく独りの夜の中にいた。
190:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:47:27.73 ID:/2q0Qaon0
紺之介一人雑木林の方向へと歩を進めていく。地擦る草履の雑音だけが夜道に何度も刻まれる。
一擦り、二擦り、一擦り、二擦り
その中で紺之介はある異変に気がついた。
191:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:48:46.61 ID:/2q0Qaon0
紺之介が歩みを止めてから十と経過した後、それは突如俊敏に動き始めた。
紺之介「……!」
一擦り、二擦り……三、四、五六七八
192:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:49:43.56 ID:/2q0Qaon0
「強ぇな」
紺之介を簡潔かつ一言で褒め称えた彼の言葉に紺之介の口は噤まれた。
『対面の者が強者であること』
193:名無しNIPPER[saga]
2019/04/08(月) 22:50:24.12 ID:/2q0Qaon0
しかし彼らの間で違ったのが余裕の差異である。
髭の濃いその男はその言葉を口にしても尚余裕に満ち溢れていた。故に推測される。その言葉の持つ言霊は『悦』
一方紺之介の口から出かかったソレの源は『恐れ』
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