1: ◆oCJZGVXoGI[sage saga]
2019/01/11(金) 20:07:28.16 ID:6bUZbsq+0
これは『本田未央の兄』という存在だけは確認されているキャラクターを中心にひたお話です。
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2:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/11(金) 20:10:41.53 ID:6bUZbsq+0
どうも! 本田未央15才、今日も元気にアイドルやってます!
いきなりで非常に残念なのですが、今日の主役はこの未央ちゃんでは無いのです……。
今日の主役は我が愚兄です!
愚は余計だ愚妹が。どうも、本田の兄です。
今日は俺がこいつの勤め先に関わることになった切っ掛けを話したいと思います。
3:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/11(金) 20:12:17.76 ID:6bUZbsq+0
あれは春休みの事でした。俺は春眠暁を覚えずの言葉の通り、朝が来たのにも気付かず惰眠を貪ってました。……妹からの通話が来るまでは。
『あっ、もしもし兄貴ー? あたしだけどさー、部屋にある着替え持ってきてくんないー?』
「……この電話は現在使いたくも御座いません」
4:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/11(金) 20:13:23.95 ID:6bUZbsq+0
妹との通話を終えると、俺は適当に着替えて冷蔵庫の中の菓子パンを漁り、玄関に置きっぱなしになっていたスポーツバッグを手にしていい年してお使いへと出掛けた。
妹の未央は昨年からアイドルを始めたらしい。らしい、というのは余り妹の動向に興味が無いから詳しく知らないのだ。
電車を乗り継ぎ、妹から伝えられた住所へと地図アプリを便りに向かう。
……あれ、地図が間違っているのか? それとも妹からの情報が間違っているのか?
アプリを元にたどり着いたのは現代の城と見間違う、立派という言葉ですら表現出来ない建物だった。
5:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/11(金) 20:14:24.52 ID:6bUZbsq+0
「おーい!」
「お、おう」
「ごめんごめーん! 助かったよ!」
6:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/11(金) 20:15:26.18 ID:6bUZbsq+0
「未央、着替えは届いたの?」
しまむーちゃんの後ろからもう1人現れた。なんだか目付きのキツい子だな……。
「うん、またせちゃったねしぶりん!」
7:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/11(金) 20:16:24.68 ID:6bUZbsq+0
「兄貴、どうせ夕方のバイトまで暇でしょ? カフェで何か飲んでく?」
「……奢らねーぞ」
「ふふーん、うちのアイドルなら特別価格で飲めるんだなーこれが!」
8:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/11(金) 20:17:44.03 ID:6bUZbsq+0
「あれ、本田くん……?」
「お前、新田……か?」
そこにはかつての同級生、新田美波がいた。
9:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/11(金) 20:18:48.16 ID:6bUZbsq+0
「なぁ3人とも、新田って君らにとってはどんな奴だい?」
「美波さんですか? そうですね、やっぱり頼りになる優しいお姉さんでしょうか」
「そうだね、美波は年下も年上の面倒もよく見るしね」
10:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/11(金) 20:20:20.99 ID:6bUZbsq+0
期待と緊張に包まれた初日、真新しくもどこか懐かしさを覚える教室で俺達は自己紹介をしていた。
『新田美波です、中学までは実家の広島にいました。分からないことばかりですがどうぞよろしくお願いします!』
新田は他の女子の存在が霞む程の美人だった。男子は軒並み鼻の下を伸ばし、我こそがお近づきになるのだと早くも椅子から腰を浮かしていた。
11:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/11(金) 20:21:55.76 ID:6bUZbsq+0
ガタッ! と大きな音がして、そちらを見ると新田が椅子から立ち上がっていて、何故か周りの女子は青ざめていた。
新田はツカツカとこちらに大股で歩いてきてこう言った。
『貴方…本田くん、だったかしら? よく聞こえなかったからもう一度言ってくれない?』
12:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/11(金) 20:23:09.37 ID:6bUZbsq+0
……今思い出しても額が痛むな。新田は一言一言言い含めるように頭突きをしながら俺にお好み焼きの講義を続けたよ。
おかげで俺は入学初日に保健室の住人となったって訳さ。
「み、ミナミン凄いね……」
13:名無しNIPPER
2019/01/11(金) 20:24:42.39 ID:6bUZbsq+0
「いやぁ、ミナミンにもそんな狂犬時代があったとはねぇ。ねぇねぇ、逆に兄貴の面白エピソードとかあるよね!?」
「なんであること前提なんだよおい」
「もっちろん♪ さて、どれから話そうかしらねぇ〜」
14:名無しNIPPER
2019/01/11(金) 20:25:58.97 ID:6bUZbsq+0
「新田、時間はあるか?」
「え、えぇ」
「よし、なら2人でこの子の抜けた穴を埋めるぞ。飲食の経験は?」
15:名無しNIPPER
2019/01/11(金) 20:27:13.64 ID:6bUZbsq+0
「すみません、こちらに本田のご家族がいると聞きましたが……」
「はい、本田の兄ですが……」
声のする方へ顔を向けると、スーツ姿の男性がいた。
16:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/11(金) 20:28:22.42 ID:6bUZbsq+0
「えっ、こんなにいただけるんですか!?」
俺は予想よりも大分多い額に思わず大きな声を出してしまった。
「ん? あぁ、時給で計算したらそんなものさ。まぁ細かい数字にはお礼として色をつけたけどね」
17:名無しNIPPER
2019/01/11(金) 20:29:10.80 ID:6bUZbsq+0
「おぉ、それは有難い! こっちは何時でも歓迎するよ!」
「もしそうなったらこちらも有難いです。菜々も何時までもここでバイトをさせる訳にはいきませんからね」
「菜々ちゃん、忙しいお仕事の合間を縫ってここで働いてますからね」
18:名無しNIPPER
2019/01/11(金) 20:29:40.12 ID:6bUZbsq+0
こうして、俺は未央の事務所との繋がりが1つ出来た。
お話そのものはもう少し続くので、お暇ならどうぞお付き合い下さい。
19:名無しNIPPER[sage saga]
2019/01/11(金) 20:30:47.60 ID:6bUZbsq+0
「夜にBarを、ですか?」
事務所内のカフェで働き初めてから数ヶ月、俺は店主、もといマスターからとある相談を受けた。
「あぁ。仕事終わりに一杯飲みたいって要望が多くてね。それに、俺自身も昔からBarをやりたいと思ってたんだ」
20:名無しNIPPER
2019/01/11(金) 20:31:50.96 ID:6bUZbsq+0
「ホワイト・レディを1つ」
ある日、ちんまいお嬢ちゃんが一丁前にカクテルを注文してきたので、俺は優しく注意をした。
「お嬢ちゃん、ここはこの時間大人しか入れないんだよ? それに君が頼んだのはお酒だ。申し訳ないけど出す訳にはいかない」
21:名無しNIPPER
2019/01/11(金) 20:32:44.32 ID:6bUZbsq+0
「むぅ〜! 信じてないでしょっ! はいっ、免許証!!」
お嬢ちゃんは俺に水戸黄門の印籠の如く自前の免許証を突き出した。
日下部若葉、生年月日は……本当だ。こんな子が俺より年上だなんて。
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