32:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:46:47.32 ID:wXX+fiS7o
――――――
引っ越しの前夜、
荷物をまとめていた私の部屋の扉が、こんこんとノックされました。
33:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:47:31.36 ID:wXX+fiS7o
「蓮実はそういう子供の憧れで終わらせないで、中学に入ってからも高校に入ってからも、本気でアイドルになりたいって決心を持ち続けて、一人で東京に行くことも決めて。
すごいわよ、意志の強さも、行動力も。お母さんより全然」
「……」
「羨ましいの。お母さんにはできなかったことだから……あ、もちろん、子供に自分の夢を重ねて〜だとか、そういうつもりじゃないの」
34:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:49:02.68 ID:wXX+fiS7o
――――――
“12時20分発、280便東京羽田ゆきはただいまより機内への案内を始めます。 ご搭乗のお客様は……”
35:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:50:30.51 ID:wXX+fiS7o
――――――
東京での新生活の準備は、家族総出で行いました。
引っ越しの後片付け、高校の転入手続き、当面の生活をこなすための買い出し。
36:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:51:30.57 ID:wXX+fiS7o
――――――
昼前、指定された時間よりかなり早めに到着し、案内されて向かった待合室に長いこと一人で待ちぼうけを食らっていました。
しばらくするとコンコン、と扉が叩かれます。
37:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:52:38.81 ID:wXX+fiS7o
「……ふふっ」
「あれ……私変なこと言いました……?」
「ふふふっ……いえ、ごめんなさい。少しだけおかしくって……ありがとうございます、おかげでリラックスできました」
「そうですか? ……なら、良かったです! えへへ」
38:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:54:05.91 ID:wXX+fiS7o
そして指定の時間を5分ほど過ぎた頃、ようやく案内係の人が部屋へ入ってきました。
「お待たせいたしました。ただいまよりオーディションを開始します……1番の方からどうぞ」
39:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:55:12.01 ID:wXX+fiS7o
――――――
アイドル業界の“洗礼”を受け、私は無言でビルの玄関を後にします。
40:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:56:50.40 ID:wXX+fiS7o
とりあえずのお疲れ様会として、二人で駅前のカフェに入りました。
こんなとき、のむんだったらコーヒーに限ります。
もちろん、お砂糖は多めですが。
41:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:59:12.31 ID:wXX+fiS7o
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「……あ、そろそろ……ごめんなさい。電車の時間なので、私は帰ります!」
「……あぁ、もう8時ですもんね」
42:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:59:42.64 ID:wXX+fiS7o
確かに、そんな事ができればどれほど数奇で素敵なことでしょう。
「……そうですね。そうなればとっても楽しいと思います……」
「ん? ちょっと待って……」
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