36:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:51:30.57 ID:wXX+fiS7o
――――――
昼前、指定された時間よりかなり早めに到着し、案内されて向かった待合室に長いこと一人で待ちぼうけを食らっていました。
しばらくするとコンコン、と扉が叩かれます。
「失礼します……」
思わず背筋を伸ばしましたが、どうやら案内の人ではないようでほっと一息。まだ心の準備ができていません。
目をやると私と同じくらいの歳の女の子が、半開きの扉から顔だけ覗かせて部屋全体をキョロキョロ見渡していました。
「あ、あの……ここが、オーディションの待合室で良かったですよね?」
「? ……はい、そのようです」
「あぁ、良かった……さっき階を間違えちゃって、男の人たちが会議中の部屋に入っちゃって……あはは、焦りました……」
「そうだったんですね。ふふっ」
どうやら同じくオーディションを受けに来た仲間のようです。
女の子は私の隣の椅子に座り、ふぅと一息ついて鞄からお茶を取り出しています。
「……あの、あなたもアイドルになりたいんですか?」
「……はい、恥ずかしながら」
「そっかー……あ、いや、ここに来てるんだからそりゃそうですよね……何言ってるんだろ、私……」
少しおとぼけな会話に、なんだか気が抜けていきます。
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