25:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:38:40.39 ID:wXX+fiS7o
「長富さんは確かに、今時珍しい好みを持っているかも知れません。 でも、きっとそのこだわりは人生を良い方向に導いてくれるはずです」
「人生を……」
「いつまでも自分の好きなものを好きでいることって、とても素敵なことです。たとえそれが古くさくて、他の人が見向きしなくても、長富さんだけはずっと好きでい続けて下さい。
そして自分の好きなものを信じて突き進んでほしい」
26:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:39:20.68 ID:wXX+fiS7o
「もちろん貴女と同じ趣味を持った人たちはいると思いますよ、先生みたいにね。
だけどきっと多くはなくて、それぞれが今の長富さんみたいに、『こんな趣味はもう流行らないのかも』って心配になっていることでしょう」
そして、
27:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:41:12.01 ID:wXX+fiS7o
――――――
「長富さんですが、残念ながら一学期をもって転校します」
28:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:42:13.94 ID:wXX+fiS7o
あぁ、言ってしまった。
笑われるだろうか?
おまえには無理だろうと、馬鹿にされるだろうか?
しかし、仮に笑われたとしてもかまいません。
29:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:43:56.12 ID:wXX+fiS7o
「……てっきり笑われるかと……」
思わずこぼすと、
30:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:44:38.43 ID:wXX+fiS7o
「あのさ。ぶっちゃけ、ハスミンの趣味は古くさいよ」
「うっ……」
クラスメイトの中でも昔から仲の良かった友人が、ぴしゃりと言い放ちました。
31:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:45:45.26 ID:wXX+fiS7o
──────
その日の帰り、通っていた中学校へ足を運びました。
もちろん、先生にこれからのことを報告するためです。
32:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:46:47.32 ID:wXX+fiS7o
――――――
引っ越しの前夜、
荷物をまとめていた私の部屋の扉が、こんこんとノックされました。
33:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:47:31.36 ID:wXX+fiS7o
「蓮実はそういう子供の憧れで終わらせないで、中学に入ってからも高校に入ってからも、本気でアイドルになりたいって決心を持ち続けて、一人で東京に行くことも決めて。
すごいわよ、意志の強さも、行動力も。お母さんより全然」
「……」
「羨ましいの。お母さんにはできなかったことだから……あ、もちろん、子供に自分の夢を重ねて〜だとか、そういうつもりじゃないの」
34:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:49:02.68 ID:wXX+fiS7o
――――――
“12時20分発、280便東京羽田ゆきはただいまより機内への案内を始めます。 ご搭乗のお客様は……”
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