27:名無しNIPPER[saga]
2018/12/14(金) 23:41:12.01 ID:wXX+fiS7o
――――――
「長富さんですが、残念ながら一学期をもって転校します」
高校1年の夏。クラスがざわつく中、隣に立った私の代わりに先生が説明してくれます。
「長富さんは自分の夢を叶えるために、一人で東京へ行くことを決めました。寂しいですが、彼女の意志を尊重し、みんなで応援してあげましょう」
一部のクラスメイトから、「東京で一人暮らし? かっこいい!」といった、羨望の混じった声もちらほら聞こえます。
「長富さん、挨拶を」
「はい」
先生の言葉に、みんなの注目が集まります。
何を話そうか特に考えていなかったので、数秒の沈黙を作った後、ゆっくりと口を開いていきます。
「みなさんに何もお話ししていなかったこと、謝ります。すみませんでした。先生のおっしゃったとおりです。東京でないとできないことがあるので、一人で行くことを決めました」
「分かったけど……東京で何するの?」
「……それは……その」
この質問が来ることは予想していましたが、やはり少し、答えることをためらってしまいます。
しかし、万が一……そう、万が一夢が叶えばいずれ知れ渡ること。
「……笑われるかもしれませんが……私、アイドルになりたいんです」
重い口を開き、ほとんどの人には語ったことのない私の夢を、初めてみんなに知らせました。
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