1: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/12/10(月) 00:43:54.59 ID:DSvNJt5LO
感じろそう初投稿です
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2: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/12/10(月) 00:44:56.28 ID:/688KgEE0
漫画で伝えることが出来ないのは、匂いと、音と、感触、それから温度なんスよ。
3: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/12/10(月) 00:45:58.93 ID:/688KgEE0
僕は温泉街にいた。湯気が立ちこめる中、白い息を吐き出した。体はまだ湯冷めしていない
僕の吐く息は、いつの間にか白色に変わっていた。鼻で透明を大きく吸い込んでから、口で白色を吐き出した。もう冬だ。昼間、日が照っていても暖かさはそこまでで。夜になりかけている時間は、今までよりもずっと早くやってくる。例年通りの冬が、僕らの元にやって来ていた
4: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/12/10(月) 00:46:33.49 ID:/688KgEE0
今回のロケ先はとある温泉街だった。レトロな雰囲気を残していて、ここだけが時代に取り残されている様な錯覚に包まれる、魅力的な場所だった。町並みの中に灯るスマートフォンの明かりは、いささかミスマッチで、でもそれさえも素敵だと思える、不思議な街だった。
午前中をこの温泉街のレポに使い、午後はせっかくだからと一泊、明日の朝に帰る予定だ。
5: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/12/10(月) 00:46:59.47 ID:/688KgEE0
冬は空気が澄んでいて、光はどの季節よりも綺麗だ。星も、街灯も、透明の中で輝いている。そんな光の下、僕達は踵をそろえて歩く
比奈がスマホを取り出し、町並みを撮りだした。作画の資料かい、と言う必要はもう無いだろう
6: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/12/10(月) 00:47:30.72 ID:/688KgEE0
空の星が増えてきた。三日月も、より一層光を強くした。すれ違う人は少なくなっていって、僕たちは、どんどん二人きりになっていく。
冷たい風がふいた。湯冷めするのは避けないといけない。もうロケはないけれど、仕事は明後日以降もある。僕はプロデューサーとして、比奈はアイドルとして、体調を崩してしまわないようにしなければならない
7: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/12/10(月) 00:47:56.25 ID:/688KgEE0
いつかの彼女の言葉を思い出す
『漫画には、どうしても出来ないことが多いんスよ』
8: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/12/10(月) 00:50:01.31 ID:/688KgEE0
「あ、この川も撮っていいっスか?」
「分かった」
9: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/12/10(月) 00:50:28.78 ID:/688KgEE0
ここまでです、ありがとうございました
祝え
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