荒木比奈「インソート100」
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8: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2018/12/10(月) 00:50:01.31 ID:/688KgEE0

「あ、この川も撮っていいっスか?」

「分かった」

僕らは足を止めた。また彼女は写真を撮りだした。僕はそれを眺めていた

……彼女は今、どんなことを考えているのだろう

きっと漫画のことだろうか。資料をどうやって使うか、て具合に。僕は比奈じゃないから分からないけれど。けど、彼女が今考えていることは、いつかきっと、彼女の作品として誰かに伝わる。

もちろん全部を伝えきるのは難しいだろうけど、少しでも彼女の中のモノを紙に乗せられるよう、僕も手伝っていきたいな、なんて事を考えた。夏より花は、僕だって技術が身についているはずだし

これも、プロデュース業務の一環だろうか。いや、きっと……


旅館まで残り50メートルになった。残り半分。僕らは更にゆっくりになる。一歩の次までが遠くなっていく

上を見上げてみた。一番星はどれだろうか探してみた。星があまりにいっぱいあって分からなかったから、比奈にも観てもらった。都会より綺麗だと、彼女は口にした

「旅館のご飯はなんだろうね」

「あ、アタシ女将さんに聞いてきたんスよ」

僕らは言葉を伝え合いながら、歩いて行く。旅館まであと半分もない。残された時間を少しでも長くしたいという思いだけは、僕らの中で共通していたのだろうか。そうだといいな

夕食に遅れない程度に、僕らは歩いた




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