18: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 19:52:12.08 ID:Nn2yIfhz0
そど子は私が通り過ぎると校門の扉を閉めた。
その様子は、まるで私を待っていたかのようだった。
ふらふらとした体を泥のように引きずり校舎の中へ。
ホームルームの終了した教室へと入り、机へ倒れ込む。
19: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 19:57:30.18 ID:Nn2yIfhz0
そど子が私を待つ理由については察しがついた。
お互い、腐れ縁だということは承知している。
そんな腐れ縁の片割れが、この期に及んで(遅刻や欠席を帳消しにしてもらっておいて)遅刻を繰り返している現状を憂いているのだろう。
20: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 19:58:34.56 ID:Nn2yIfhz0
そど子は卒業を自覚していた。
わかっていないのは、私だけだった。
そうやって気付いてしまうと、自分の中にぽうっと変わるものを感じた。
21: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:00:07.67 ID:Nn2yIfhz0
性根のせいか体質のせいか。
……あるいは、小学生の頃に遭った、あの事故のせいか。
ともかく私は布団の中を好み、過度な人付き合いを嫌い、ひどいサボり癖を持っている。
22: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:03:28.17 ID:Nn2yIfhz0
――しかし、しかしだ。
恩を返すだのなんだのと直接そど子に言えば、あいつは「ようやく気付いたようね!」と調子に乗るだろう。
23: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:07:54.01 ID:Nn2yIfhz0
「しかし、問題は、何を用意するかということだな」
「冷泉殿、なにか言いました?」
24: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:14:29.58 ID:Nn2yIfhz0
「甘味が……甘味が足りない……」
生徒会の仕事を手伝い早一時間。
25: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:15:46.31 ID:Nn2yIfhz0
校舎を出て、学園艦の艦内を下り、船舶科の生徒とすれ違う。
大洗のヨハネスブルグも初めは居心地が悪かったが、通い慣れた今となってはさほど気になるものでもない。
ドラム缶を囲んでたむろする連中も、私を目に留めてもひらひらと手を振るだけだ。
26: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:17:13.90 ID:Nn2yIfhz0
やがて目の前へメロンソーダが置かれ、すぐさまスプーンで天井に乗ったソフトクリームをすくった。
「ぉおお……」
27: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:18:53.57 ID:Nn2yIfhz0
「本当においしそうに食べるね」
「だっておいしいからな」
28: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/11/14(水) 20:20:56.34 ID:Nn2yIfhz0
「なあに? 餞別ってえ、誰に渡すの」
いやに嬉しそうな顔で、隣からラムが割り込んでくる。
めんどくさい酔っ払いの登場だ。
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