14: ◆XUWJiU1Fxs
2018/10/31(水) 02:28:20.61 ID:rpP0yHwMo
「そうだぞー。竹井なんか奈緒さんのユニットの大ファンで、奈緒さんがプロデューサーと結婚した時はそれはもう仕事が手につかないくらいに落ち込んでたのに、その相手がよりにもよってお前だと知った時の顔は今でも忘れられないよ……人間ってあんなに絶望的な顔ができるんだな」
「あはは……」
竹井は学年で一番運動ができて中学高校とバスケ部のエースだった男だ。逆上がりができない俺をいつもバカにしていたけど、その相手に推してたアイドルを取られたんだ。凹むのも無理はないか。まぁその悔しさをバネに社会人バスケで活躍しているらしいからザマァ見ろとはとても言えないんだけどね。
15: ◆XUWJiU1Fxs
2018/10/31(水) 02:30:53.09 ID:rpP0yHwMo
「そうそう。ピー助君にはまだ話してなかったんだけどね……じゃん!」
梅ちゃんはポケットから小さな箱を出し、パカっと開けるとそれは小さく輝いた。
「おっ! それ、結婚指輪? 梅ちゃん結婚するんだ。相手は誰々? 俺の知ってる人?」
16: ◆XUWJiU1Fxs
2018/10/31(水) 02:33:42.27 ID:rpP0yHwMo
「ちょっと今の下ネタは引くわー……」
「えっ、声出てた?」
「出てた出てた、ドヤ顔してるし」
17: ◆XUWJiU1Fxs
2018/10/31(水) 02:35:03.22 ID:rpP0yHwMo
「なぁ、まっつん」
「どうした、ピー助」
ざわざわ、ざわざわ。
18: ◆XUWJiU1Fxs
2018/10/31(水) 02:35:40.61 ID:rpP0yHwMo
「アラサーが体操服着てパフォーマンスをするなんて聞いたことないよ!」
「いやぁ……うちでもそこそこ前例はあるぞ……?」
「そうかもしれないけど! んなー!」
19: ◆XUWJiU1Fxs
2018/10/31(水) 02:36:44.16 ID:rpP0yHwMo
「えーと、奈緒? やらなきゃダメなのか……?」
「妻に体操服でライブさせといて、自分だけ逃げようって言ってもそうはいかないからなー!」
カミさんによるミニライブは大盛況のうちに終えた。きっと子供達も、この学校を懐かしむ時に体操服で歌い踊ったお姉さんのことを思い出の1つとして振り返るだろう。ただ、そこで終わるはずだったのに。
20: ◆XUWJiU1Fxs
2018/10/31(水) 02:38:29.74 ID:rpP0yHwMo
強く地面を蹴って勢いに任せる。くるりと世界が反転したのは一瞬のこと、俺は勢い余らせて足を滑らしてお尻で着地してしまう。
「いってて……」
「ほら、出来たじゃん」
21: ◆XUWJiU1Fxs
2018/10/31(水) 02:40:15.23 ID:rpP0yHwMo
「んじゃ帰るよ。無理すんなよ、親父」
「アホ抜かせ。孫の顔見るまでは[ピーーー]るものか」
22: ◆XUWJiU1Fxs
2018/10/31(水) 02:43:24.37 ID:rpP0yHwMo
「ここだけの話なんだけど」
「うん」
「初恋の相手だったんだ、梅ちゃん」
23: ◆XUWJiU1Fxs
2018/10/31(水) 02:43:50.32 ID:rpP0yHwMo
以上になります。お付き合いくださった方がいたらありがとうございます
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