22: ◆XUWJiU1Fxs
2018/10/31(水) 02:43:24.37 ID:rpP0yHwMo
「ここだけの話なんだけど」
「うん」
「初恋の相手だったんだ、梅ちゃん」
「やっぱり?」
「あれ、そんな素振り見せたっけ?」
「妻の勘、ってやつかな」
帰り道、口にしなくても良かったことを話してしまった。カミさんはそれを怒るどころか、知ってたよって言わんばかりに笑う。
「でも俺は友達以上になれなかった。逆上がり出来なかったからさ」
「そっか」
逆上がりなんか全くといっていいほどに関係ないのにね。もし卒業までに逆上がり出来ていたのなら、隣に立っている女性は別の誰かだったのだろうか。それとも、そんな相手はいないのかな。
「奈緒」
「うん?」
「出会ってくれて、ありがと」
「なんだよ、気持ち悪いなぁ」
照れ臭そうにカミさんは笑う。どちらからと言わず、自然と手がつながる。最初からそうであったかのように、強く強く。
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