19: ◆XUWJiU1Fxs
2018/10/31(水) 02:36:44.16 ID:rpP0yHwMo
「えーと、奈緒? やらなきゃダメなのか……?」
「妻に体操服でライブさせといて、自分だけ逃げようって言ってもそうはいかないからなー!」
カミさんによるミニライブは大盛況のうちに終えた。きっと子供達も、この学校を懐かしむ時に体操服で歌い踊ったお姉さんのことを思い出の1つとして振り返るだろう。ただ、そこで終わるはずだったのに。
『実はねー、あたし旦那のお父さんのお見舞いでこっちに着ていて。旦那がこの学校のOBだからライブを開いたんだけどね……うちの旦那様、逆上がりが出来ないまま学校を卒業したんだって。だから後で逆上がりができるように応援してあげて!』
と全員の前でのたまうものだから、逃げ場をなくした俺は20年近くぶりに鉄棒の前に立っていた。よう、久しぶりだな。会いたくなかったよ。
「はぁ……失敗しても笑うなよ?」
「笑わないって。20年前の忘れ物、取って来なっ!」
カミさんはパシンと背中を叩く。いつも俺が背中を押していたように、勇気つけるかのように。
「あんがと、なんだか行ける気がしてき……た!」
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