1: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 17:49:45.40 ID:R0OKRz5m0
――リップオフ教会
ヨランダ「ダッチ坊やから頼まれていた銃器と弾薬。その他諸々は滞りなく揃えたよ。確認しとくれ」
ロック「SIG P210が2丁、SCAR-Lが3丁、ジャベリン2基、9mmパラベラム10カート……はい、他も全て注文通りです。ありがとうございました、シスター」
ヨランダ「やれやれ。いつも大量に買ってってくれるのはありがたいが、坊やのとこは戦争でもおっ始めようってのかい?」
ロック「汝平和を欲さば備えよ、ですよ」
ヨランダ「はっはっはっ。日本人は勤勉と聞くが、まったくだねぇ。なかなか堂に入ってきたじゃないか」
ロック「ビジネスマンとして扱うものの知識は多い方がいいですから」
ヨランダ「そうそう。ビジネスといえば、ラグーンに頼みたいことがあってねぇ」
ロック「頼みたいこと?」
ヨランダ「仕事の依頼さね。お前さんらの普段扱う仕事とはちょいとばかり畑違いだろうが、この街じゃラグーン……というより坊やのような人間が適任なんだよ」
ロック「はぁ……それで、いったい俺になにをしろと?」
ヨランダ「実はねぇ……」
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2: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 17:52:15.49 ID:R0OKRz5m0
――ラグーン商会、事務所
レヴィ「はぁ!? んだそりゃ!!」
ロック「大きな声を出すなよ、レヴィ」
3: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 17:53:48.07 ID:R0OKRz5m0
――リップオフ教会管轄、孤児院兼保育所
ロック「えー、はじめまして。ヨランダ院長先生の代わりに今日一日みんなのお世話をすることになりました岡島緑郎といいます。みんなには馴染みがなくて覚えにくい名前だと思うので、ロック先生って呼んでください」
ガキ共「はーい!!」
4: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 17:54:32.17 ID:R0OKRz5m0
レヴィ(ちょいと様子を覗きに来りゃ、案の定コレかよ。かーっ、見てらんねぇぜ。ったく)
エダ「ヘイ、こんなとこでなにしてんだよトゥーハンド。ここはあんたみてぇな悪党が来ていいとこじゃないよ。サツ呼んでブタ箱にブチ込んでもらおうか?」
レヴィ「この街のムショなんざザルみてーなもんだろが。それに今日は日曜だ。自宅にかけてもワトサップは来ねーだろ。どーせ、昼過ぎまで起きやしねーよ」
5: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 17:55:20.46 ID:R0OKRz5m0
ロック「どうしたんです? シスターエダ……って、レヴィじゃないか。てっきり来ないと思ってたのに」
レヴィ「バッカてめぇ。勘違いすんなよ? あたしはただ、酒が切れたから買い出しにきただけで」
ロック「えっ? でも、ここかなり街外れだから買い物するならもっと近場でもよかったんじゃ――」
6: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 17:56:07.69 ID:R0OKRz5m0
レヴィ「あー、てめぇら。耳の穴かっぽじってよぉ〜く聞きやがれ。あたしはロックみてーに甘くはねぇ。あたしのことはレヴェッカ姉さん、もしくはアネゴと呼び敬うこと! それから、あたしはてめーらのクソの世話なんざしたくねぇ。垂れたらケツはてめーで拭きやがれ。んで、最後に。何か言いてえことがあるんだったら言葉の前後にサーをつけて発言しろ。わかったか、クソガキども」
男児A「ねぇねぇ! なんで肩に絵が描いてあるのー?」
男児B「そのピストルかっこいー! ねぇ、貸して貸してー!」
7: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 17:56:53.41 ID:R0OKRz5m0
乳児A「びええええん!!」
ロック「ほーら、起こしてごめんよ〜。怖かったね〜。ほら、レヴィ。君もあやしてよ」
レヴィ「あー?! なんだって? うるさくて聞こえねーよ!」
8: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 17:57:25.86 ID:R0OKRz5m0
ダッチ「おいおい、いったいこりゃあ何の騒ぎだ?」
ロック「ダッチ!?」
レヴィ「いや、実はよ……」
9: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 17:58:09.55 ID:R0OKRz5m0
ダッチ「いいかレヴィ。赤ん坊って生き物は大人の機嫌を察知する能力に関して言えばこの地球上でナンバーワンだ。おめーさんみたいに年中殺気なんぞ垂れ流してりゃこうなるのは必然。大事なのは赤ん坊の警戒心を解いてリラックスさせてやることさ」カチャ
ロック(ダッチがサングラスを!)
レヴィ(外した……だと……?!)
10: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 17:58:54.20 ID:R0OKRz5m0
レヴィ「はあ……銃を持たせたら天下無敵のレヴェッカ姉さんだってーのに」
ダッチ『銃は俺が預かる。どうしてもってんなら、代わりにこいつを持っていけ』
レヴィ「まさか水鉄砲持たされるなんてよ。しまらねーよなぁ。ったく」ピュッピュッ
11: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 17:59:45.89 ID:R0OKRz5m0
ロック「バ、バラライカさん!?」
バラライカ「ハアイ、ロック。エプロン姿似合ってるわよ」
ロック「どうしてここへ?」
12: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 18:01:22.63 ID:R0OKRz5m0
レヴィ「大体だな。お前らの銃の持ち方からなってねーんだよ。もっとこうしっかり持ってだな……」
男児A「こう?」スチャ
レヴィ「あたしに言わせりゃまだまだだが、まあ、いいだろ。後は慣れだ慣れ。とにかく撃ってりゃ慣れんだよ。あー、そこのハナタレ。あたしのマネして無理に二挺持つな。照準ブレまくりじゃねーか」
13: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 18:02:18.95 ID:R0OKRz5m0
レヴィ「それに想像してみな、ロック。仕事から帰って来て、真っ先に出迎えるのがエプロン姿のあたいだ。それだけでも充分強烈なのに、それに加えてこう言うのさ。『おかえりダーリン。ミートパイが上手に焼けたの。味見してみて。ハイ、あーん』ってな。どうよ? たまんないだろ?」
ロック「あ、ああ……。凶悪的なまでにね」
レヴィ「とどのつまり、そういうことなんだよ。あたいの人生にゃガキもエプロンもミートパイも、果てし無く遠い世界の幻さ」
14: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 18:03:39.99 ID:R0OKRz5m0
レヴィ「い、いよう姐御。まさかホテルモスクワが福祉施設でボランティア活動してたなんて知らなかったぜ。マフィアの看板畳んで慈善事業家にでも鞍替えかい?」
バラライカ「よく聞けよレヴィ。次にこちらの質問の答え以外の言葉を吐いたら[ピーーー]。沈黙もまた然りだ」
レヴィ(うひぃー、マジでキレてんな。こりゃ、いよいよやべーかも)
15: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 18:05:19.99 ID:R0OKRz5m0
バラライカ「ねぇ、ボクちゃんたち。水鉄砲とはいえ、オバちゃんに銃を向けることの意味。わかってるのかしら?」
男児A「」ガクガクブルブル
男児B「」ガタガタブルブル
16: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 18:06:03.83 ID:R0OKRz5m0
ロック「ガルシア君、どうしてここに?」
ガルシア「バラライカさんから孤児院でボランティアしないかって連絡をもらったんです。ラブレス家は慈善事業も行っていますから、断る理由はありません」
ガルシア「それに、ロベルタは鬼ごっこやかくれんぼは得意なんです。鬼をやると特にね。僕も昔はよく屋敷内で遊んでもらいましたが、一度も彼女から逃げ切ることは出来ませんでした」
17: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 18:07:16.17 ID:R0OKRz5m0
バラライカ『まずは10秒。その間出来るだけ遠くへ逃げ、隠れなさい。10秒数え終えたら猟犬があなたたち≠探す。5分の間で両名とも捕まえることが出来れば私の勝ち。捕まらなければあなたたちの勝ちよ』
レヴィ「んなこと言ったってよ。相手はあのターミ姉ちゃんだぜ。この狭い園内じゃどう考えても無理だろ」
ロック「諦めるな、レヴィ。きっと打開策はあるはずだ」
18: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 18:09:17.09 ID:R0OKRz5m0
――職員用ロッカールーム(女子更衣室)
ロック(……ハァ、ハァ、と、とりあえずここに逃げ込んだはいいけど……。レヴィのやつは上手く隠れているだろうか)
ロック(今出来るのは、息を潜めて祈るくらいしか出来ない)
19: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 18:10:48.37 ID:R0OKRz5m0
レヴィ「今の悲鳴はロックか! あいつ、もうとっ捕まりやがったのか」
レヴィ「残り時間はあと3分。まだ2分しか経ってねぇのかよクソッタレ!」
(できる限り逃げてみな。ここは地獄のモーテルだ。でねェと……ブギーマンに喰われるぞォ!?)
20: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 18:12:02.07 ID:R0OKRz5m0
ロベルタ「くつひもが、ほどけてますわよ」
レヴィ「二度も同じ手にひっかかるかクソメイド!」
ロック「レヴィ! 本当にほどけてるぞ!」
21: ◆akTsNxs6xE
2018/08/18(土) 18:12:59.68 ID:R0OKRz5m0
ロベルタ「以前のような油断は一切持ち合わせておりません。キツめのお仕置きで大人しくなったところを一気に捕縛させていただきます」ドカバキ
レヴィ(あ……やべぇ……意識が……いいのもらい過ぎたか……こりゃあ、天下のレヴェッカ姉さんもいよいよ年貢の納め時かもな……)
ロベルタ「そろそろ幕引きです。どうかお覚悟を――!!?」
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