77:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:07:51.35 ID:uC+MDGI60
鶴賀学園三年、加治木ゆみ。新設麻雀部の参謀として長野県代表目前まで詰め寄った彼女に知恵を借りようと、私は近場の公園で待ち合わせを持ちかけたのだ。
「かまわないが、なんなら蒲原に頼んでこちらまで送ってもらうことも出来たぞ?」
「私をグロッキー状態にしてどうしようってのよ」
78:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:09:29.44 ID:uC+MDGI60
「なるほど……打倒チャンピオンか。面白そうだ、わかった。一枚噛もう」
ゆみが童心に帰ったように頬を緩めるが、すぐに引き締める。
「代わりといっては何だが、その練習試合に鶴賀も参加させてもらえないか」
79:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:12:48.37 ID:uC+MDGI60
気兼ねしたのか、取り繕ったような笑顔をゆみが見せる。
「いやすまない、なにも無理にってわけではないんだ。来年は一応また敵になるわけだしな」
「うん、ごめんね」
80:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:14:43.98 ID:uC+MDGI60
「そう。それで、まさかその心証だけで?」
「いや、それより先に気になっていたのは力を貸してと頼まれたあたりだな」
「なにか……変なこと言ったっけ」
81:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:20:12.29 ID:uC+MDGI60
ゆみの舌は回転を止めている。
答えは沈黙。というか、沈黙もある種の答えだろう。なんとなく私の目から、ゆみの態度は知らないというより知らないほうが都合がいいと言いたげに映った。
猫でも捕まえようかとも思ったけれど、ゆみが少し顔をしかめたように見え、意識を目の前に戻す。彼女を見ると、少し深く呼吸をして今まさに次の一言を準備していた。
82:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:22:48.31 ID:uC+MDGI60
「うん、そんなとこね。何らかってのはチャンピオンに妹、咲に会って話してもらうこと」
先ほどまでの、目を合わせたら心まで読まれそうな推断ぶりは風解し、ゆみが不思議そうな顔を浮かべる。
「会って話す? それだけなら直接行けばいいんじゃないか」
83:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:23:54.23 ID:uC+MDGI60
「・・・って感じのことが日中にあってね。毎度どーうも間が悪くて、あげく最後は『会っても話さないから』なんて言われちゃってこうなったってわけ」
「なるほど、奇なこともあるものだな」
「でも終わったことだしね。今は関係なかったでしょ?」
84:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:25:30.38 ID:uC+MDGI60
「モモ、いるんだろう?」
少し声量を上げてゆみが問い掛けてくる。なぜ急に桃が必要かどうかを訊かれたんだろう。
「……出てこないなら明日から宿題見てやらないぞ」
85:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:26:41.54 ID:uC+MDGI60
「散歩してたらこの猫ちゃんを見つけて……何となくついていってみたら先輩を見かけたっす」
「いつからいたんだ」
「先輩が『練習試合の話が妙じゃないか』的なこと言ったあたりっす。その、ちょっと話しかけづらい空気で……ズルズルと…」
86:名無しNIPPER[sage saga]
2018/08/03(金) 15:27:38.98 ID:uC+MDGI60
ステルスモモなんて言うわりには竹を割ったような性格で、思ってることも意外と表に出やすい子だと思う。そして今の返答から曲がったものは感じなかった。けれどまあ、つい先ほど前科がついているので一応確認を取る。
「ゆみ、今日って東横さんと一緒にいた?」
「ああ。というか、今日は鶴賀は会場に行っていないよ」
87:名無しNIPPER[sage]
2018/08/03(金) 17:02:27.14 ID:1/rLhX8l0
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