243: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:42:54.93 ID:LvNYVq+e0
アンチョビが、仁王立ちをし、正面を向く。
『私は! この世界で生きていくぞ! その決断をした!』
さらに、力強く叫ぶ。
244: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:45:54.93 ID:LvNYVq+e0
2018年3月24日。土曜日。
玄関の扉を開けると、そこにミカがいた。
「あの、いらっしゃるみたいな話してましたっけ」
245: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:47:56.95 ID:LvNYVq+e0
「あ、あぁ、それじゃあ、ひとまずBlu-ray観ますか?」
「え、えぇえ、この流れで? いやまぁ良いですけど」
柿葉さんから最終章第1話のBlu-rayを受け取る(我が家にもあるが)と、それを再生機へと挿入する。
246: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:51:51.84 ID:LvNYVq+e0
「戸庭。大事な話だ」
「お、おう。いつになく真面目。わかった。聞くよ」
アンチョビが俺の正面に移動する。
247: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:53:45.78 ID:LvNYVq+e0
「……展開が、早すぎない?」
「もちろん戸庭にこれまで世話になった礼はするぞ。私のために使ってくれたお金も、これから時間をかけて全部返す!」
アンチョビは、ツインテールを揺らして、腕を組み、むんずとふんぞり返って笑った。
248: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:56:57.03 ID:LvNYVq+e0
しかしそこで気付くに、どうもアンチョビの様子がおかしい。
彼女は固く目を瞑っている。
何だと思うと、アンチョビは再び目を開いた。
先ほどまでの威厳をなくし、声を震わせて、続きを口にする。
249: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:58:10.62 ID:LvNYVq+e0
……いや、いやいやいやいや。
「その選択って、誰が決めるの」
「う。わ、私が決められたら良かったんだが、私はどれだけ悩んでも駄目だ。ノリとテンションだけではどうにもならなかった」
250: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 22:59:45.50 ID:LvNYVq+e0
でも。とアンチョビは続ける。
「言った通り、これは私だけの問題じゃない」
「戸庭の問題でもあるし、ミカの問題でもあるし、もっと言えば柿葉の問題だってあるだろう」
「それに、ミカと暮らすのだって、私は悪くないと思う」
251: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 23:01:01.49 ID:LvNYVq+e0
アンチョビは俺の先をいっているなあ。
俺は、アンチョビを一人悩ませてしまっていた。
俺も考えるべきだったのだ。
いつかの未来でなく、近い将来の話として。どうすべきかを。
252: ◆JeBzCbkT3k[saga]
2018/07/20(金) 23:02:45.17 ID:LvNYVq+e0
正直、俺の欲だけをいえば、そりゃあアンチョビには、俺の家にいてほしい。
ファンなんだ。当たり前だ。
今は、アンチョビの言う通り、家族でもある。
家族がいなくなるのは誰だって辛いだろう?
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